【イラン戦|戦評】攻守が噛み合った今大会のベストゲーム。光ったのは森保ジャパンの真骨頂だ

2019年01月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

守備陣は的確にイランの攻撃に対応

試合後に喜びを爆発させる選手たち。決勝進出を決めた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[アジアカップ・準決勝]日本 3-0 イラン/1月28日/ハッザ・ビン・ザイード・スタジアム 

 まさに会心の勝利だった。下馬評ではイラン有利の声が大半だった。2011年に就任したカルロス・ケイロス監督の下で熟成を進めてきたイランと、昨年9月に発足した森保ジャパンではチームとしての経験値に差があり、圧倒的な強さで勝ち上がって来たイランに対し、ギリギリの勝負を制してきた日本という今大会の勝ち上がり方も実に対照的なものだった。
 
 舞台はアル・アインのハッザ・ビン・ザイード・スタジアム。観客は満員とは言えなかったものの、イランサポーターの割合が多く、耳をつんざくような声援に、この試合は苦しいものになると感じられた。
 
 しかし、長友佑都が「今日はスーパーゲームでしょ。僕らが本物だと示せましたよ」と語ったようにスコアは3-0と日本の完勝。日本は56分にイラン守備陣の足が止まったところを見逃さなかった南野拓実のクロスに大迫勇也がヘッドで合わせて先制すると、67分には南野がPKを奪い、これを大迫が決めて追加点。後半アディショナルタイムには原口元気が単独突破からトドメの3点目を奪った。

 チームのパフォーマンスも森保ジャパンの真骨頂と言えるものだった。序盤からイランのロングボールを主体にした攻撃を吉田麻也、冨安健洋を中心にした守備陣が撥ね返すと、攻撃は初戦のトルクメニスタン戦以来の先発復帰となった大迫のポストプレーを活かしながら展開。
 
 前半は耐える時間が短くなかったが、ここを凌ぎ切れるのが今の日本の強みなのだ。ゲームを観ていて、決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦や準々決勝のベトナム戦後の長友の言葉が蘇ってきた。
 
「今は守備面で手応えがあります。ボールを握られたとしても、ケアする場所、身体を張る場所を皆が分かっています。今の日本代表の後ろの選手たちは経験があり、海外で揉まれているだけあって余裕がありますよね。僕は10年くらい代表にいますが、攻められても余裕があるというか、締めるところを分かっている今のチームに強さを感じるんです」
 
 この日もロシア・ワールドカップでもレギュラーを担った長友、吉田、酒井宏樹に加え、20歳の冨安で組んだ最終ラインは堅牢ぶりを示し、長友も「チームの真価が問われると試合前に言っていましたが僕らがやっていること、ディフェンスの部分は本物だなと自信を持てました」と力強く語る。
 

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