「彼が生きていると信じているが…」飛行機が消息不明になった“愛弟子”の状況にハリルも悲痛

2019年01月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

移籍が決まった矢先に起きた悲劇

サラ(左)と師弟関係を築いていたハリルホジッチ(右)。ゆえに今回の不慮の事故には相当なショックを受けている。 (C) Getty Images

 その生存を世界が信じている。

 現地1月21日、リーグ・アンのナントに所属していたアルゼンチン人FWエミリアーノ・サラが、この1月に移籍を決めた新天地カーディフへ空路で向かっていたところ、乗っていた飛行機が行方不明になった。

 現在28歳のサラは、今シーズン、リーグ・アンで開幕から好調を維持し、19試合で12ゴールを挙げる活躍を見せていた。その出色のパフォーマンスがあらゆるクラブの関心を惹き、今月19日にプレミアリーグのカーディフへの移籍が決定したばかりだった。

 英公共放送「BBC」によれば、サラは20日にナントのチームメイトたちに別れを告げ、そして21日にアトランティック空港からウェールズに向けて出発。しかし、乗り込んだ小型飛行機は、海峡付近で行方不明になったようだ。

 捜索は、翌22日も18時まで続いたが、いまだ何も見つかっていない。「BBC」の取材に応じたイギリス海峡航空救助隊のチーフは、「個人的な観点で話せば、生前確率はゼロだろう」と、最悪の事態を口にしている。

 サラに関して、メディアの前でその重い口を開いたのは、前所属ナントの指揮官であるヴァイッド・ハリルホジッチだ。

 昨年10月にナントの指揮官になった元日本代表監督は、チームに必要不可欠なストライカーとしてサラを重宝。この1月の放出にも異を唱えていたほどだった。

 それだけに"愛弟子"のショッキングなニュースにハリルホジッチも、「信じられない……」と悲痛な感情を吐露している。
 
「私に何を言って欲しい? 言葉を見つけるのは不可能だよ。昨日まで彼と一緒にいて、お別れを言いに来た……。そして……。とにかく全員がショックを受けている。愕然としているんだ。状況は非常にデリケートだった。だが、今は非常に難しい。我々は彼が生きていることを信じて待っている。だが、幻想を抱くことはできない。最悪の事態だと考えている」

 そして、ハリルホジッチはサラとの思い出も語った。

「テクニック的には未成熟かもしれないが、身体を張る勇気があり、とても愛嬌のあるプレーヤーだった。彼は探偵小説が好きで、本を持たずにアウェー戦に行くことはなかったし、ギターを弾くのも好きだったね。

 そして何よりエミリアーノはセンシティブな一面を持つ若者だった。彼は自信を持つ必要があった。だからこそ、私が最優先にしたのは彼自身を信じることだった。その後は"ストライカー同士"の立場として話をするようになったのだ」

 プレミアリーグへの挑戦が決まった矢先に起きてしまった28歳のストライカーを襲った悲劇。世界のサッカーファンが、その無事を祈っている。

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