興味深い森保ジャパンの二面性。中央突破の「セットA」とサイド攻撃の「セットB」は上手く融合するのか

2019年01月19日 清水英斗

ここまでは森保監督の狙い通りに進んでいる

クロスを頭で仕上げた武藤のゴールは、セットBの特長が凝縮されたものだった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 アジアカップ・グループリーグ第3戦の日本対ウズベキスタンは、日本が2-1で勝利を収めた。グループ首位通過により、ラウンド16はサウジアラビアとの対戦が決まっている。
 
 この第3戦、森保一監督はスタメン10人を入れ替えた。唯一の2戦連続である北川航也も、大迫勇也の怪我によって出番が増えた格好であり、実質的にはセットAとセットBのフル・ターンオーバー。総入れ替えだ。スタメンとサブの序列ははっきりしている。
 
 だが、そのおかげで、トルクメニスタン戦とオマーン戦に出場したセットAは、ラウンド16のサウジアラビア戦に中7日で臨めることになった。これで身体をリセットできる。
 
 一方のウズベキスタンは、22番シディコフ、19番シュクロフ、GKネステロフが3戦連続スタメンだった。若い22才の主力ふたりと、GKのみを3連戦させ、その他のベテランは休ませている。森保式とは異なり、試合ごとに3~4人ずつを入れ替え、チームが一歩ずつ進む形を取ってきた。その場合、シディコフとシュクロフには、ラウンド16で疲れが出てくるかもしれない。どちらが良いのか。マネージメントも様々だ。

 ひとつ気になるのは、もしもオマーン戦が引き分けや負けで、このウズベキスタン戦が、グループリーグ敗退や3位通過の可能性を残す状況になったとき。「それでもセットBを出したのか?」ということ。
 
 その回答が「イエス」ならば、森保監督は勝負師だ。第1戦と第2戦で交代カードを使い切らず、主力を長く起用して疲労させた采配も、状況がどうであれ第3戦をセットBで臨むと考えていたのなら、正当化できる。オマーン戦は北川を56分の起用に留め、武藤嘉紀と交代させた。これも最初からウズベキスタン戦でふたりともに起用するためだったとも考えられる。
 
 決勝トーナメントを見据えた、大会マネージメント。通らなかった未来のことは分からないが、いずれにせよ、ここまでは森保監督の狙い通りに進んでいるようだ。
 
 そしてこの試合、森保式で面白かったのは、セットBがセットAとは異なる特徴を持っていたこと。
 
 これまでのセットAは、クロスから点を取るシーンが少なかった。それはアジアカップに限らず、親善試合でも同じ。中島翔哉がサイドを破ってクロスを入れても、南野拓実らには合いそうで合わない。ゴールのほとんどは中央突破や、グラウンダーの崩しだった。

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