【選手権】黒田監督のひと言がスーパーサブ・小松の気持ちに火をつけた――ダメ押し弾の舞台裏

2019年01月15日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「技術でゴールを取れるところを証明できなかったな」

準決勝の尚志戦で同点弾を奪った小松は、決勝でもダメ押しゴールを決めた。写真:田中研治

[高校選手権・決勝]青森山田3-1流経大柏/1月14日/埼玉

 全国高校サッカー選手権の決勝戦が1月14日、埼玉スタジアム2002で行なわれ、青森山田が流経大柏に3-1で勝利し、優勝を果たした。そのファイナルでダメ押しとなる3点目を決め、2年ぶり2回目の戴冠に貢献したのが、後半35分から途中出場した小松慧(3年)だ。
 
 2-1でリードして迎えた後半43分、天笠泰輝(3年)のパスに抜け出し、相手GKとの1対1を冷静に制してゴールをゲット。仮に1失点をすれば同点にもなりかねない状況のなかで、試合を決定づける貴重な一発だった。
 
 出場からわずか8分でネットを揺らし、まさに「スーパーサブ」とも呼べる働きぶり。実はこのダメ押し弾にはドラマがあった。試合後、小松が熱い気持ちを明かす。
 
「自分でも思った以上に落ち着いていました。こないだのゴールはあんまり覚えていなかったんですけど、本当に流れと想いだけで決めたと思います。今日、監督に『お前は想いではゴールをできると証明したけど、最後の1対1を外して、技術でゴールを取れるところを証明できなかったな』と言われてしまって。苦笑いで伝えられたんですけど、自分にはグッとくるものがあって。たしかにその通りだなと思って。
 
 あの熱い気持ちでゴールを取れたことは嬉しかったですけど、最後のあの1点を取れていればあのまま終わっていたわけですし、あのハラハラする試合展開にならなかったと思います。周りから見たらそれが面白いかもしれないですけど、勝負の世界なので結果にこだわらないといけないです。あれでもし負けていたら、自分が1対1を決められなかったという後悔が残ると思ったので、監督に言われたことを真摯に受け止めて、(今日は)落ち着いてしっかり流し込むことだけを意識して打てたかなと思います」
 
 小松が回想したのは、後半41分から途中出場した準決勝の尚志戦。2-3で迎えた後半42分にゴール前のこぼれ球を拾い同点弾を奪ったが、後半アディショナルタイムに相手GKとの1対1のビッグチャンスを外していた。自らの得点でPK戦に持ち込んだことよりも、決定機を逃して90分で勝ち切れなかったことを反省していたようだ。
 
 その後に黒田監督から前述の言葉を掛けられた。気持ちに火がついた小松は、同じようなGKとの1対1を今度は冷静に決めて、ダメ押し弾でチームの勝利に貢献した。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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