【選手権】インターハイ2回戦敗退に、12月の主将交代…青森山田はいかにして冬の王座を奪還したのか

2019年01月14日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

インターハイでは2点を先行しながら、まさかの…

キャプテン交代となった檀崎。それでも準決勝、決勝ではゴールを奪い、エースとしての重責を果たした。写真:田中研治

 2年ぶり2度目の戴冠だ。1月14日、高校サッカー選手権の決勝が行なわれ、青森山田は流経大柏を3―1で撃破。日本代表の柴崎岳(ヘタフェ)など多くのプロ選手を輩出してきた東北の雄が日本一の栄冠を掴んだ。

 近年の結果を踏まえれば、青森山田が大会を制した事実になんら不思議はない。22年連続で選手権に出場し、本大会はここ4年で優勝を2度、ベスト4が1度。高校年代最高峰のプレミアリーグでは2011年の発足時から参戦し、2016年には年間王者に輝いた。また、付属中学も全国の舞台を席巻し、2014年から2017年まで全国中学校サッカー大会を4連覇。2018年はJリーグの下部組織も参戦するプレミアカップで4強入りを果たすなど、中学年代でも青森山田の名を轟かせている。
 
 そうした実績がグリーンのキッドへの憧れを抱かせ、高校だけに止まらずに中学も含めて全国各地から本州最北端の地に選手が集う理由となっている。

 今年も青森山田はタレントを揃え、192センチの大型CB三國ケネディエブス(3年/福岡入団内定)や注目ドリブラー・檀崎竜孔(3年/札幌入団内定)は世代別代表でも活躍。脇を固める守護神の飯田雅浩(3年)やチリ国籍のMFバスケス・バイロン(3年)らも全国レベルの実力を持ち、攻守に充実した陣容で新チームはスタートした。
 
 昨年2月には東北新人大会で優勝、続く3月には高校年代の強豪チームが集まるサニックス杯を制覇。プレミアリーグでも順調に勝点を積み上げ、今年も"青森山田に隙はなし"と感じさせる強さを見せていた。だが、春先の好調とは裏腹に、今年はここから苦しむ。
 
 近年のチームとは異なり、メンタル面に大きな課題があった。誰もが認める実力は備える一方で、パフォーマンスに波が見られる試合が散見。夏のインターハイは精神的な未熟さを露呈した。
 
 2回戦の昌平戦だ。青森山田は2点を先行しながら、まさかの4失点。チームは逆転負けを喫し、奈落の底に突き落とされた。
 
「青森山田らしくない試合だったので、自分としても反省点が多かった。監督からも絶対に忘れないようにと言われました。サッカー自体は変えていないですけど、選手の気持ちが変わりました」(飯田)

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