【オマーン戦|戦評】浮き彫りになったエース大迫不在の穴。北川、武藤を活かす術は見い出せるか

2019年01月14日 本田健介(サッカーダイジェスト)

北川、武藤は不発に終わる

オマーンを下し、決勝トーナメント進出を決めた日本。ただ試合後の選手たちに笑顔はなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 日本は1月13日に行なわれたアジアカップ、グループリーグ第2戦のオマーン戦に1-0で勝ち、第3戦のウズベキスタン戦(1月17日)を前に決勝トーナメント進出を決めた。ただし、連勝を飾ったオマーン戦は判定に助けられたゲームとも言えた。
 
 試合序盤に立て続けに南野拓実が決定機を迎え、28分には微妙な判定で得たPKを原口元気が決めて先制。45分にはエリア内で長友佑都が相手のシュートを手でブロックしたように映ったが、これは見逃されて1-0のまま逃げ切った。だが、当の長友は「VARがなくてホッとしています。あれは結果的に"神の手"になって良かったです」と振り返ったように、運に恵まれた部分があったのは事実だ。

 グループリーグを突破した点は喜ばしいが、試合後に選手たちの顔に笑顔が少なかったことが、なにより試合内容の乏しさを象徴していたと言えるだろう。
 
 試合を通じて浮き彫りになったのは、右臀部の負傷で欠場した大迫勇也の穴の大きさだ。前述したように大迫の相棒である南野は7分、11分、23分、25分と迎えたチャンスを決め切れず、1点リードで迎えた後半は、重心をやや後ろに下げた日本はゴールから遠ざかった。
 
 大迫の代役に抜擢された北川航也は「欲しいタイミングで出てこなかったり、ボール保持者が出したい時に自分が動いていなかったり、合わなかったところがありました」と悔しがったように、周囲と息が合わず。
 
 またその北川に代わって57分から登場した武藤嘉紀も味方へのパスがズレるなど、上手く流れに乗れずに決定機に絡めないまま試合を終えた。
 
 そもそも抜群のキープ力や的確なポストプレーが武器の大迫と、鋭い動き出しやフリーランが得意な北川、スピードやエリア内での一瞬のキレが特長の武藤ではタイプが異なるため、単純比較はできない。ただ問題だったのは、大迫の代役として出場したふたりをチームとして活かせなかった点だ。
 
 ボランチで初戦に続きフル出場した柴崎岳に大迫不在の影響を訊くと、こう答えてくれた。
 
「彼(大迫)はひとりの大黒柱として非常に大きなタスクを背負った存在です。あれだけ影響力のある選手がいないとなると、それはチームの戦い方も変わってきます。ただ、だからと言って、できないというのはあり得ないことです。(北川)航也は公式戦のスタメンは初でしたし、ヨッチ(武藤嘉紀)は代表戦、何試合か経験がありますが、彼らもチームのなかで生きる術を身に付けないといけないと思いますし、ボランチの僕としては彼らの特長を活かす部分は磨かないといけません。それはチームとしての課題です」
 
 

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