初戦の苦戦は想定内⁉ アジアカップを勝ち抜くために"放っておけない"ふたつのポイント

2019年01月10日 佐藤俊

2失点は崩された形ではないので、それほど気にすることはない

先制点を与えても吉田らロシアW組に動揺は見られなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[アジアカップ・グループリーグ第1戦]日本 3-2 トルクメニスタン/1月9日/アルナヒヤーン・スタジアム

 終ってみれば、3-2の逆転勝ち。
 情報が少ないトルクメニスタンとはやりにくさがあっただろうし、日本の立ち上がりも悪かった。親善試合では良い面が多く出ていたので、もうちょっとやれる感を持っていたのだろう。なかなかうまくいかないなぁというのは試合後の森保一監督の渋い表情からもうかがい知れたが、それでも初戦の勝利は04年中国大会以来である。

 国際大会の出足としては、上々だ。
 この試合で改めてその存在の大きさを見せたのは、ロシアW杯のメンバーだった。トルクメニスタン戦はスタメン中7名がロシアW杯経験者。彼らが違いを見せたのは、26分にアマノフのゴールで失点した後の試合運びだ。

 普通は、初戦で相手に先制されるといくらかの動揺が感じられるのだが、ロシアW杯での経験が自信となっているのだろう。シュート自体はスーパーゴールなので、この1点は仕方ない。そう割り切った吉田麻也らは動揺をまったく見せず、平然とプレーした。それが冨安健洋や堂安律ら若手選手に伝播し、彼らは失点後も堂々とプレーしていた。

 戦い方も中東の環境を活かして、賢く戦っていた。36℃と気温が高い中、日本は前線をワイドにして、パスを回し、相手の体力を序盤から奪って行った。ビルドアップの精度が低く、時々、引っかかってカウンターを受けたが、それが後半に活きた。トルクメニスタンは動きが落ち、ギアを上げた日本の動きについていけなくなっていた。足に乳酸がたまり、ボックス内に追い詰められ、内に入るパスに反応が遅れてきていたのを、大迫勇也ら攻撃陣が見逃さなかった。
 
 エースがゴールを決めればチームの雰囲気は盛り上る。
 さらに若手1番株の堂安律も3点目を決めたことで、攻撃陣は良いムードになった。苦しんだが、主力が点を取り、勝点3を獲れたことはチームを勢いづけるだろう。
 
 ただ、今後を勝ち抜いていくために放っておけないポイントもある。
 
 2失点は、崩された形ではないので、それほど気にすることはない。
 それよりも気になったのは、攻守の切り替えだ。
 FIFAランク127位のトルクメニスタンのカウンターは、ランキング下位のレベルとは思えない迫力と鋭さがあった。5バックにして守備のブロックを敷き、球際に厳しく、インターセプトを狙って、カウンターを仕掛けるプレーは非常に日本に効いていた。

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