【岩政大樹】ボランチのバランスは課題だが、苦戦しながらの勝点3は理想的なスタートだ

2019年01月10日 岩政大樹

圧倒して三連勝するようなら、逆に決勝トーナメントでは危険だと思っていた

前半は攻撃が停滞したものの、後半に持ち直したのは見事だった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 いよいよアジアカップが開幕。決勝まで行けば7試合を戦うことになります。大会を制するために団結して戦う経験を通して、森保ジャパンは一気に形になっていくでしょう。
 
 初戦はトルクメニスタン。予選を勝ち上がり、15年ぶりの本大会出場を果たした国とあって、力の差は歴然かと思われましたが、いやはやしっかりと整備されていてアジア全体の底上げがなされていることを痛感させられる試合となりました。
 
 普段の4−4−2ではなく5−4−1を採用してきたトルクメニスタンに対し、日本は前半かなり苦しめられました。

 森保ジャパンになってうまくいっていた形である、"縦パスからの前線のコンビネーション"をディフェンスラインの5枚と中盤の4枚で囲みこみ、そこから9番のオラズサヘドフに収まったら、7番のアマノフと8番のミンガゾフが斜めに侵入してくるという明確な戦い方で、トルクメニスタンは迷いなく挑んできました。

 日本もシステム変更をどこまで予想できていたか分かりませんが、その相手の狙いや中心的存在の7番、8番の注意点などは情報として与えられていたと思います。しかし、前半はあまりに"縦パスからの前線のコンビネーション"に固執しすぎました。その形で相手にことごとく奪われても、何度も縦にボールを差し込んでいくことばかりが頭にあるようでした。
 
 ただ、これは致し方なかったと思います。森保ジャパンになって、選手たちには"縦パスからの前線のコンビネーション"での成功体験が刷り込まれています。それもウルグアイなどの強豪相手に対しても崩すことができた感触はきっと色濃く残っているでしょう。
 
 そうしたなかでは、たとえ何度かボールを奪われようとも「いけるだろう」と考えることは自然です。私は、予選でここまでの勢いそのままに圧倒して三連勝するようなら、逆に決勝トーナメントでは危険だと思っていましたから、ここで"縦パスからの前線のコンビネーション"で苦しんだのは良かったと思います。成功体験だけではなかなか次へのステップに進めません。この苦戦は停滞ではなく、進化の過程になると思います。
 

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