【コラム】ビックリマン、安室奈美恵…思い出深き中澤佑二という偉大なるフットボーラー

2019年01月08日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

連載コラムのタイトルは安室奈美恵のヒット曲から

20年のプロ生活に終止符を打った中澤。熟練の守備技術は錆びつかず、DFながら“魅せられる”稀有な存在だった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 2年前のことだ。ロッテの人気菓子「ビックリマン」が中澤佑二とコラボ。おまけのシールで『中澤ロココ』と『BOMBERマリア』という特別キャラクターが生まれた。
 
 Jリーグの試合後、そのメモリアルグッズを本人に見せて「当てました!」と自慢。中澤は「お! なかなか出ないらしいですね」と柔らかい笑顔を見せた。
 
 どちらかと言えば、取材が難しい選手と聞いていた。ただ、自分が2011年に横浜担当になってから、コメントを求めれば、常に真摯に対応してくれた記憶しかない。取材エリアの範囲外で、車に乗り込んでまさに帰路につこうとしているところをつかまえて話を聞こうとしても、無視されることはなかった。
 
 あるインタビュー取材で、その日は諸々の事情により、インタビュー中の撮影はなしとのことだった。かわりに練習中の様子を撮らせてもらうことに。全体練習後、ランニングする中澤は、わざわざカメラマンの目の前まで何度か近づいてくる。そして最後のほうで「いい写真、撮れましたか?」とにこやかに声をかけてくれる。そんな気遣いができる選手だった。
 
 サッカーダイジェスト本誌では、コラム『NAKED』や『激闘タイムトラベル』を連載。前者のタイトルに関しては、"裸の"や"丸見えの"や"ありのままの"という意味で、中澤の"本音"を引き出しだいという想いで提案してみた。
 
「佑二さんの好きな安室奈美恵のヒット曲から拝借しました。どうでしょう?」
 
 その他にも候補を出すなかで、中澤は「これ、いいんじゃないですか」と『NAKED』をチョイス。コラムは毎回、読み応えのある内容となった。
 
 ピッチ上での輝かしいキャリアについては、あえてここで記すまでもない。普段のトレーニングでは、ふたり一組となり、一方がボールを投げ、もう一方がヘディングやトラップしてからのパスなど、ウォームアップ的な要素が濃いメニューでも真剣にこなす。もちろん、他の選手が手を抜いているわけではない。ただ、中澤の本気度はずば抜けていた。文字通り、"一球入魂"な振る舞いが印象的だった。
 

次ページポステコグルー体制の下で、さらなる進化への期待

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