【選手権】初出場で全国8強! 瀬戸内の躍進を支えるのはリバプールへの憧れから始まった“挑戦”だった

2019年01月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

完璧に組織されたポゼッションスタイル

焦れることなく繋ぐスタイルを実戦した瀬戸内。そのサッカーは全国での躍進を支えている。 写真:徳原隆元

[高校選手権・3回戦]瀬戸内2-1岡山学芸館/1月3日/駒沢

 2回戦で選手権初出場・初勝利を成し遂げた瀬戸内が、勢いそのままに全国ベスト8に名乗りを上げた。

 先制したのは岡山学芸館だった。前半26分、瀬戸内のディフェンスラインのパス回しが緩くなったところにチャージをかけた2年生FW、岡田知也がボールを奪取。そのまま敵陣深くに持ち込んで右足を振り抜くと、渾身の一撃は相手GKの手を弾いてゴール左隅に収まった。

 持ち味のポゼッションでペースを握りながらも先手を取られた瀬戸内だったが、「ミスからの失点だったんですけど、選手たちが笑顔で『続けよう』と意思統一を図ってくれた」と安藤正晴監督が振り返ったように、焦れることなく、巧みなポゼッションでジワジワと相手を押し込んだ。

 そして、前半終了間際の40分、2回戦で決勝点を挙げていた2年生CF中川歩夢が、ペナルティーエリア手前で相手DFに当たってこぼれたボールを拾って右足一閃。「手応えがあった」という一撃はゴール左下隅へ決まった。

 迎えた後半もリスクを恐れないポゼッションスタイルで岡山学芸館と互角以上に渡り合った瀬戸内は15分、中盤でセカンドボールを奪った中川がそのままゴール前までドリブル突破。今度は左足を振り抜いて決勝弾を決めた。

 終盤は猛攻にさらされながらも、耐え凌いだ瀬戸内。自分たちの理想とするスタイルを貫いての見事な勝利だった。

 初出場ながらベスト8まで駒を進めた瀬戸内の屋台骨となっているのは、本稿でも触れている4-3-3システムで、完璧に組織されているポゼッションである。だが、意外なことにこの形にトライし始めたのは、昨夏に行なわれたインターハイ終了後なのだという。安藤監督は、次のように明かしてくれた。

「実は夏までは蹴って走るサッカーをやってたんです。インターハイが終わってからスタイルを全部変えたんです。選手の一番良いところを伸ばすことが大事だと思っていて、そのなかで、今年は2年生も多くてこじんまりとしたチームなので、ポジションとポゼッションが大事だということで、全員で研究してきました」

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