史上最弱と言われた地方クラブはなぜ高円宮杯初出場で準優勝を掴めたのか? 金沢U-15が全国で掴んだ手応えと課題

2019年01月02日 竹中玲央奈

並み居る強豪を倒して掴んだ準優勝

高円宮杯で準優勝した金沢U-15。大会初出場ながら、強豪を次々と破る快進撃を見せた。写真:竹中玲央奈

 中学校年代の最強チームを決める高円宮杯U-15サッカー選手権大会が12月28日に幕を閉じた。昨年度の同大会で準優勝と涙をのんだFC東京U-15深川が見事にリベンジを果たす形になったが、その優勝チーム以上の注目を集めたと言っても過言ではないチームが、準優勝のツエーゲン金沢U-15である。
 
 ベスト4に残ったのはこの決勝の2チームに加えて浦和レッズジュニアユースと川崎フロンターレU-15。トップチームがJ1上位の常連であり、人口の多い首都圏クラブであることを考えれば、明らかに金沢はクラブの規模では劣っている。しかも金沢U-15は今大会が初出場であり、決勝までの5試合で福岡U-15、磐田U-15、FC東京U-15むさし、浦和JYという強豪を下してきた。決して"くじ運"でここまで来たわけではないことは、勝ち上がるまでの相手を見れば理解していただけるだろう。
 
「クラブ規模を考えればここまでよくやれたと思います」
 試合後にスタッフはこう語り、チームを率いた寺中克典監督もここまで来れるとは思っていなかったと試合後に言った。
 
「5試合させてあげたいという思いはありましたし、そこに向けてやってはいましたけど、どちらかというと3年間積み上げてきたものを毎試合毎試合ゲームの中で出していこうという形でやっていたら、実際にここまで来ていたというのが現状ですね」
 
 寺中監督は続けてこう言うが、まさに彼らが志向するサッカーを毎試合発揮できたからこそ、ここまでこれた。金沢U-15のサッカーを一言でいうと難しいが、スピードやフィジカルを発揮するタイプか緻密に下で繋いで崩していくタイプかと言われれば後者である。足もとの技術と判断力に長ける伊東陸と184cmの長身を誇る波本頼のCB2枚からしっかりとボランチを経由し、相手を敵陣に押し込んでいく。「攻撃を長く守備を短く」(寺中監督)という意識はチーム全員に共有されているのは外から見ても明らかで、まだ技術面の粗い部分はあるものの、アバウトな選択することはほぼなく、一人ひとりが意図を持ってプレーしていた。
 
「一人ひとりが相手を見たなかで判断をして、という意味での組織ですけど、形ではなくて一人ひとりが自分でボールを持つ、ちゃんと見るというところを徹底してきました」
 寺中監督のこの意図は選手にもしっかりと伝わっている。
 

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