【選手権】岡山学芸館高がこだわる“5秒の質”とは?高原監督が作り出したタフなチームの秘密

2019年01月01日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

象徴的だったのが2点目を奪った11分の場面

スピーディな攻守の切り替えが特長の岡山学芸館。今大会の台風の目になるか。写真:徳原隆元

[高校サッカー選手権1回戦]遠野0-4岡山学芸館/12月31日/味の素フィールド西が丘
 
 高校サッカー選手権1回戦、岡山学芸館高が遠野高を下し、同校史上初の2回戦に駒を進めた。
 
 10番でキャプテンの永田一真を軸としたスピーディで多彩な攻撃で4ゴールを奪えば、仲達大翔と香西泰成のCBコンビを中心に粘り強くゴールを守り完封。4-0の快勝を飾ってみせた。
 
 前半10分の先制点奪取後、すぐさま2点目を奪い、後半にさらに2点を追加する理想的な展開に、トップ下で出場してハットトリックを決めた永田は手応えを語る。

「自分たちの持ち味であるカウンターと、課題にしていた前半の戦い方は良かった。『立ち上がりから前からいこう』と言っていた。そこで点を取った後にまた2点目をすぐ取れたのは、チームとしてのこれまでやってきたことが、実ったのかなと思います」
 
 とりわけ目を引いたのが、素早い攻守の切り替えだ。ボールを奪われれば、すぐに複数人で囲い込み、取り返す。逆にボールを奪ってからは、1トップの岡田知也を追うように、4-2-3-1システムの2列目の選手がどんどん前線に飛び出していく。そうした攻守が切り替わる局面で常に先手を取っていたのが岡山学芸館だった。
 
 高原良明監督が試合後に語った勝因がまさに、「ボールに対してプレッシングを連動してかけるところとスピーディにショートカウンターを狙う。これを連続させたこと」

 特に象徴的だったのが2点目を奪った前半11分の場面。ピッチ中央でボールを奪ってからすかさず速攻を仕掛け、ドリブルで持ち上がった上山拳史郎から永田へとつないで華麗にネットを揺らしたシーンだ。DFひとりの相手に対して、4人が勢いよく駆け上がっていいったカウンターは圧巻だった。
 
「切り替えの質には、かなりこだわっています。"5秒の質"というところ。取られてから5カウントの間でとにかく取り返しにいったり、逆に奪った後は前に出ていったりというところは、練習から意識してやっています」
 
"5秒の質"にこだわった高原監督が作り上げたのは、攻守に連動したタフなチームである。しかも1回戦の出来はまだトップフォームではない。

「(切り替えの質に関しては)まだ60~70パーセントくらいかなというところです。まだまだイージーミスでボールをロストすることは結構あった。何度か良い形も作れているので、そこらへんの質をもう少し上げていかないといけないのかなとは思います」(高原監督)

 岡山学芸館のスピーディなサッカーはここから、さらに鋭くなりそうだ。宮城県の強豪・仙台育英高との2回戦でも注目したい。

【選手権PHOTO】遠野 0-4 岡山学芸館|永田のハットトリックなどで岡山学芸館が快勝

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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