【選手権】今大会の主役に名乗り!岡山学芸館の“肉体派エース”永田一真を見逃すな

2018年12月31日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「ピッチに立っただけで頭が真っ白になった」2年前の悔しさを胸に

遠野との1回戦ではトップ下で出場。圧巻のパフォーマンスを披露した。写真:徳原隆元

[高校サッカー選手権1回戦]遠野0-4岡山学芸館/12月31日/味の素フィールド西が丘
 
 岡山学芸館の10番・永田一真が今大会の主役になるかもしれない。
 
 遠野との1回戦で見せたパフォーマンスは圧巻だった。前半11分に鋭いカウンターから左足で自身の選手権初ゴールを決めると、後半10分にはパワフルなドリブルでエリア内を突き進み、最後は滑り込みながら右足でネットを揺する。極めつけは後半29分。クロスをヘディングで捉えて、この日自身3点目を奪った。ハットトリックという大車輪の活躍で、チームを2回戦へと導いてみせたのだ。
 
「学芸館の歴史に新たな1勝を刻めたので、嬉しいです。得点は初戦から狙っていました。ハットトリックという形で1試合目を終われたのは貴重な経験になりました」
 
 試合後にそう喜んだ永田の注目ポイントは、左足、右足、頭と多彩なパターンで3点を決めたゴールセンスだ。記者席からも見ても明らかなガッシリとした体躯に加え、巧みなボールタッチ、さらに強烈な得点意識が、柔軟なフィニッシュを可能にしているのだろう。
 
「自分の持ち味はどこからでもゴールを狙っていけるところ。右足でも左足でも頭でもいつも狙っているので、そこが今日の試合に凝縮されていたかなと思います」

 取材中に何度も『得点への意識』を口にした永田が、ゴールに強くこだわるようになったきっかけは、2年前の選手権だった。当時1年生だった永田は、山梨学院との1回戦で後半31分から途中出場。しかし、シュートを1本も打たないまま試合を終え、0-1で負けていたチームを救えなかった。
 
「あの時はピッチに立っただけで頭が真っ白になりました。経験が少なかったので、何もできませんでした。そこから、またこの舞台に立って点を決めたやろうと、この2年間、得点というところはすごくこだわってきました。今日、強引にでも点が取れたのは、それが出たのかなと」
 
 2年前の悔しい想いは、永田の精神面も成長させた。変わったのは、ピッチ外での取り組みだ。
 
「ガタイが良いのは元々なんですよね。あまり筋トレはしていないんですよ。してしまうと逆に身体が重くなってしまうので。どちらかと言うと、疲労を取るために、必ず7時間半は睡眠を取ったり、試合後には交代浴をしたりとか、食事をしっかり摂ったりとか、そういうことには気を遣ってきました」

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