北朝鮮代表がアジアカップのダークホースに?35歳の青年監督が抱く野望

2018年12月31日 ピッチコミュニケーションズ

南アフリカ・ワールドカップにも出場した実力者

北朝鮮はアジアカップで、サウジアラビア、レバノン、カタールと同居するE組に入った。(C)Getty Images

 来年1月5日にUAEで開幕するアジアカップに出場する朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)。今年3月にホームで香港を2-0で下して決めた3大会連続の本大会出場だが、その時のチームを指揮していたノルウェー出身のヨルン・アンデルセン監督はもういない(現在はKリーグの仁川ユナイテッドを指揮)。
 
 新たに指揮を執っているのは、35歳のキム・ヨンジュン監督だ。その事実は最近、多くのメディアで報じられている通りだが、実は今年11月、北朝鮮代表の新指揮官に直接話を聞くことができた。
 
 インタビューを行なったのは台湾の首都・台北。2019年に韓国で行なわれるE-1選手権ファイナルラウンドの出場権をかけたラウンド2に出場していた北朝鮮代表(結果は2勝1分けを記録したが総得点数で香港を下回り敗退)を直撃し、キム・ヨンジュン監督との1対1のインタビューを行なった。
 
 監督として海外メディアの取材を受けるのは初めてだという新指揮官の顔には、若干の緊張や警戒心が感じ取れたが、「現役時代のこともよく知っていますよ」と伝えると、少し表情を和らげて目を細めながら語り出した。
 

「それはうれしいですね。私は2012年まで現役生活を送っていたんです。もっとプレーしたかったのですが、腰と膝を痛めてしまって……。気持ちとしてはもっとやりたかったのですが、どうしても治らなかった。今も少し痛むんですよ」
 
 キム・ヨンジュン監督は現役時代、北朝鮮代表のボランチとしてプレーしていた。2005年にはドイツ・ワールドカップのアジア最終予選でジーコジャパンと対戦。惜しくもドイツ行きは逃したが、同年に韓国で開催された東アジア選手権(現E-1選手権)では日本相手にゴールを決めている(1-0で北朝鮮が勝利)。2010年には安英学(アン・ヨンハ)や鄭大世(チョン・テセ)らとともに南アフリカ・ワールドカップにも出場した。
 
「現役を引退してからは、指導者として活動を始めました。2012年12月から国内の平壌(ピョンヤン)体育団で監督を務め、2013年からU-16代表のコーチを任されました。その後はU-23代表のコーチなどを経て、今年9月にA代表の監督に就任しました」
 

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