30時間のフライトを経てブラジルから群馬に到着…横浜FCユースの斉藤光毅が疲労困憊でもピッチに立てたワケ

2018年12月25日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

試合前日の19時にブラジルから帰国!驚異のタフネスでダメ押し弾をゲット

30時間のフライトにもかかわらず、斉藤は82分まで出場。満身創痍だったが、3点目を決めてエースの仕事を果たした。(C)SOCCER DIGEST

 斉藤光毅、17歳。高校2年生ながら今季途中に横浜FCのトップチームに昇格し、飛び級でU-19日本代表に名を連ねる逸材はピッチで異彩を放った。
 
 12月24日に行なわれたプリンスリーグ関東への参入が懸かった昇格決定戦。高円宮杯U-18プレミアリーグに次ぐ位置付けとなる戦いに参戦すべく、横浜FCユースの斉藤は明秀日立戦に臨んだ。

 2トップの一角で先発出場すると、卓越した個人技と冷静なフィニッシュワークで攻撃をリード。前半こそネットを揺らせなかったが、2-0で迎えた後半13分に自らの仕事を遂行する。中川敦瑛(1年)が放ったヘディングシュートのこぼれ球に、素早く反応。冷静に押し込み、チームの勝利を決定付ける3点目を奪った。
 
 チームは3-0で快勝。斉藤は1年でのプリンスリーグ関東復帰に大きく貢献した。

 後半37分にピッチを退くまで持てる力を存分に発揮した11番。今夏にトップ昇格を果たし、チームメイトとともに練習を行なう時間は限られていたなかで流石の出来で観る者を唸らせた。そんな斉藤に話を聞いてみると、驚くべき事実が発覚する。なんと、U-19日本代表のブラジル遠征に参加していたため、チームに合流したのは前日の夜だったというのだ。
 
 約30時間のフライトを終え、成田空港に降り立ったのは昨日の19時。そこからクラブスタッフがピックアップし、群馬の地へ連れてきた。もっとも、本人は22日の参入戦の1回戦で昌平に勝った時点で出場の意思を固めていた。

 帰国便の機内では日本との時差を考えて寝るタイミングと睡眠時間を細かく決めて24時間の予定をデザイン。現状で考えられる最高の準備をし、チームに合流した。空港に到着すると誰に聞かれたわけでもなく、「俺、90分行けます」と言い切ったのは自然の流れだったのだ。

 小野監督は「1試合勝てば斉藤が帰って来るので、初戦の昌平戦は残っているメンバーでやろうと。コンディション次第で2戦目は使うかを決めようと思っていました」と起用法を考えていたそうだが、ホテルで斉藤に会うと、真っ先に「行きますからね」と言われたそう。指揮官もこの熱い想いにはゴーサインを出すしかなかった。
 

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