金田喜稔がCWCの鹿島を斬る! 「そろそろ“J基準”の戦いに戻りましょうではダメ。今回の貴重な経験を生かしてほしい」

2018年12月23日 連載・コラム

相手は“巨人”なんだから…。

敗れたものの、鹿島にとって欧州王者のマドリー(左)、南米王者のリーベル(右)と対戦できたのは貴重な経験に。(C)Getty Images

 残念だった。結局リーベル戦には0-4という大差で敗れたわけだけど、局面の攻防に関しては負けていなかった。もし早い時間帯に1点でも取れていれば…それでも互角とまでは言わないし、やっぱり負けていたかもしれないけど、4点もの差がつくことはなかったんじゃないかな。

 鹿島の選手たちはリーベルとの3位決定戦で、「なにもさせてもらえなかった」準決勝のマドリー戦とはまったく異なる試合を見せてくれた。だからこそ、残念だったんだ。
 
 そのマドリー戦は、本当になにもさせてもらえなかった。僕自身も、「この選手たちはどれだけ上の世界にいるんだよ」って言いたくなるくらいの差を感じた。クリスチアーノ・ロナウドが抜けて、2年前に戦ったときのマドリーからはだいぶ落ちているって言われていたけど、結局はマルセロとベイルのコンビにやられてしまった。

 マルセロがハーフウェーラインを越えて上がってくるのは、いわばこのチームのセオリー。だから、チャンピオンズ・リーグでもラ・リーガでも、マドリーと対戦するチームは決まってそのマルセロの背後のスペースを突こうとする。

 でも、鹿島にはそこを狙おうという意図というか、チーム内の共通理解がなかったように思えた。言ってみれば、「マルセロの背後」は鹿島が唯一戦える場所だったはずなのに、ボールを左から右に持ってきて、積極的にそこを突こうとする姿勢は見えなかったんだ。

 個人の能力を考えたら、一人ひとりが"巨人"であるマドリーに穴なんてない。でも、そんなチームにあって唯一バランスを崩してくれそうなのがマルセロのところで、そこに欧州チャンピオンの「隙」があった。

 マルセロと対峙する遠藤にスピードが不足していたとか、そういうことを言いたいわけじゃなく、チーム全体でその部分を攻略していこうという意識が、あまりにも低すぎた。唯一の弱点を突かずに、他の局面で1対1の真っ向勝負を挑めば、それは今回のような展開になっても仕方がない。さっきも言ったけど、相手は"巨人"なんだからね。
 

次ページ多くの決定機を作りながら大差をつけられたのは。

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