【クラブW杯展望】鹿島×リーベル・プレート|求めるのは有終の美。失意を払拭し、南米の雄に混然と立ち向かう

2018年12月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

土居聖真や19歳の安部裕葵らに局面打開の期待が高まる

鹿島のリーベル・プレート戦予想スタメン。ボランチに小笠原を起用する可能性もあるか。写真:サッカーダイジェスト

 悲願は散ろうと、勝利を希求してこそ名門の真髄。頭を垂れることなく、アジア王者の鹿島アントラーズは12月22日の3位決定戦で南米代表のリーベル・プレート(アルゼンチン)に相まみえる。J1リーグ戦に各カップ戦、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)という異様な過密日程を戦い抜き、実に今季60試合目という最終戦。栄えある集大成へ向け、大岩剛監督は「この1年間積み上げてきたものを、一体感を持って最後まで戦うことが大前提にある」と誓いを立てる。

 星空を見上げることなく、地の芝に視線を落とす衝撃的な敗戦だった。19日の準決勝、レアル・マドリー(スペイン)戦。本調子でなく緩みも漂った"白い巨人"に、やすやすといなされた。序盤の好機を生かせず、勝負どころで連続失点。後半から出場した内田篤人は「子供みたいだったじゃん、俺ら。絶対に相手はベストじゃなかった」とほぞを噛む。当たりに行けばかわされ、距離を取ればパスを回される。明白な力量差は、果然とした結果に帰結した。

 ただ、鹿島にとって逆境は好物。ここからはい上がってこそ成長速度は増す。20日にアブダビで行われた控え組のみの屋外練習は活気にあふれた。先発組は宿舎のプールなどで疲労回復を優先した調整。昌子源は先のレアル戦で足に違和感を覚えて張りが残っている模様だが、指揮官は「目の前の試合に勝つための選考をする。体調やけがも含め、全てを加味したい」と話す。海外開催でのクラブワールドカップでは、昨年の浦和レッズの5位を上回る日本勢最高成績が確定しようと、全力を尽くす覚悟だ。
 
 リーベル・プレートは準決勝で開催国枠のアル・アインにPK戦で足をすくわれた。序盤は圧倒的に試合を支配しながら、相手の粘りと速攻に隙を突かれた格好だ。そもそもリベルタドーレス杯決勝でサポーターの暴動が起き、第2戦が急きょスペイン開催とされたほど熱狂的なサポーターを持つ南米屈指の強豪が、白星なしの4位で郷里に戻ることは許されない。
 
 球際も含め、激しいプレーの応酬になることが予想される。ロシア・ワールドカップの日本戦でFKから得点したフアン・キンテーロやゴンサロ・マルティネス、エンソ・ペレスら危険な選手は多い。守備陣がきっちり耐え、時には蹴り出す割り切りを持って陣地を回復しながら、カウンターでひと突きする展開が理想となる。とりわけ今大会で目立ちながら、レアル戦で世界との差を痛感したという土居聖真や19歳の安部裕葵らに局面打開への期待が集まる。
 

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