家長昭博が川崎フロンターレで得たもの――32歳のMFはなぜ初のMVPに輝けたのか

2018年12月19日 本田健介(サッカーダイジェスト)

川崎は「志が高いチーム」

Jリーグアウォーズの後に会見に臨んだ家長。MVP受賞の喜びを語った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 12月18日、今季の年間表彰式となるJリーグアウォーズが開催され、MVPに川崎の家長昭博が輝いた。
 
 今季の成績は32試合・6ゴール・7アシスト。リーグ戦を終えた直後に本人は「正直に言うと物足りないですね。自己最多のゴール数(J1では16年の大宮時代に11得点を記録)には届きませんでしたし、まだまだです」と振り返ったが、「皆が一目置いている存在で、屋台骨の選手だった」と中村憲剛が賞賛したように、リーグ連覇を果たした川崎の中心には家長がいた。
 
 加入1年目の昨季は怪我もあり、序盤戦はチームにフィットできずに苦しんだ。それでも夏場に調子を上げると、川崎のリーグ初制覇に貢献。そして今季は開幕から攻撃の中軸を担い、周囲を力強く牽引した。
 
 その姿を最終ラインから見守った谷口彰悟は「あの落ち着きぶりで、チームに安心感を与えてくれました。ゲームの展開によっては『勝てれば良いけど、引き分けでも問題ない』と周囲を冷静にさせ、負けた時も『慌てんでええよ』と助言してくれる。どんな時もどっしりと構えていて、アキさんの言葉に救われた選手は多いはず」と話す。
 
 一方で家長は川崎フロンターレの印象、そして加入後に得られたものをこう口にした。
 
「志が高いチーム。選手一人ひとりが高い向上心を持ったチームだと思います。2年前に川崎フロンターレに移籍してきましたが、日本を代表する選手がいるなかで挑戦したいと飛び込みました。想像していた以上に大きな刺激をもらえるチームでした。学ぶことが多いクラブで、本当に加入して良かったと感じます。皆のお陰で僕は選手としても人間としても成長できました」

 中村は「加入当初はうちに合わせようという気持ちがあったはずですが、それよりも自分の間というか、やりたいことをやり、僕らもそれに合わせることで、どんどんアキも良くなっていった。去年の夏以降は苦しい時に突破口を開いたのはアキの左足でしたし、苦しい時に身体を張って時間を作ってくれたのがアキでした。こんな頼もしい選手はそんなに多くないです」と評価する。
 
 家長は周囲から刺激を受け、チームメイトは家長の力を引き出そうと模索する。そんな相乗効果が、初のMVP受賞に至るハイパフォーマンスにつながったようだ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
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