振り切った攻撃サッカーでJ1名古屋に3名の内定者を輩出。インカレ初戦敗退も東海学園大が貫く独自性

2018年12月18日 竹中玲央奈

風間サッカーとの近似性

2019シーズンに名古屋に入団する渡邉柊斗。高いテクニックを持つMFだ。写真:竹中玲央奈

 最終節での奇跡的な残留を決めた名古屋グランパスは、昨年に風間八宏監督を招聘して抜本的な改革を施し、今年もジョーをはじめとした大物選手の獲得で多くの話題をさらった。そんななか、新卒選手の獲得という部分においても"驚き"を提供してくれた。東海学園大の児玉駿斗に、3年後の入団となる2021年の内定リリースを出したのだ。ただ、それだけではない。
 
 同時に内定が発表された榎本大輝とその4か月前に内定発表済であった渡邉柊斗も含め、3人が同じ東海学園大の選手なのだ。わずか4か月の間で同じ大学から3名を自チームに迎え入れるのは珍しいことだ。
 
 ただ、それには明確な理由がある。シンプルに、東海学園大と名古屋のサッカーには近似性があるのだ。
 
 大学サッカーというと、どうしても注目を集める(とはいえその目の全体数は多くないのだが)のは関東、次いで関西。東海地区は、なかなか日の目を浴びることがなく、情報量も乏しい。各大学の志向するサッカーについてもあまり知られていないというのが現状だろう。しかし、全国を見渡してもここまで"振り切った"ポゼッション主体のサッカーをする大学はなかなかない。
 
 共に千葉の"技巧派集団"・中央学院高の出身である榎本大貴と児玉駿斗は、ボールを扱う技術に非常に長けているのだが、彼らのようなタイプの選手が東海学園大には集まってくる。ラフなロングボールはほとんど使わないし、最終ラインから中盤を経由して中央で人数をかけたパス回しをしながらゴールに迫る。長崎内定のCB・鹿山拓真も190cmの長身ながらドリブルで相手を剥がすプレーができたり、今年の夏に全日本大学選抜のドイツ遠征のメンバーにも入った神谷凱人は左SBながら組み立ての起点になったり、と攻撃性の高い選手がピッチに揃うのだ。
 
 ただ、得てしてこういったチームはカウンターの餌食になりやすい。
 
 新潟医療福祉大と対峙したインカレの初戦でもその姿勢はブレなかった。しかし、走力とパワーを武器とする新潟医療福祉大の強力な2トップを中心に展開されるカウンターの前に沈んでしまった。
 
 敢えて言うが、こうした失点、敗戦の傾向も風間監督率いる名古屋に近しいものを感じる。

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