「最後までもがきたい」トライアウトに挑んだJ通算397試合出場を誇るベテランの想い

2018年12月17日 郡司 聡

讃岐を契約満了となった渡邉大剛が初のトライアウト参加「楽しくやれたし、清々しい気持ち」

讃岐を退団し、トライアウトに参加した渡邉は「最後までもがいていきたい」と現役続行の意思を表明している。写真:郡司 聡

 自身初のトライアウト(12月12日・13日に行なわれた)参加を前に、過去に参加経験のあるカマタマーレ讃岐のメンバーからその雰囲気は事前に聞いていた。重松健太郎、荒堀謙次、そして昨季限りで現役を引退した大沢朋也……。今後のサッカー人生が懸かったトライアウト。彼らから聞いていた話によると、もう少しピリピリとした雰囲気も覚悟していた。それでも、7対7のミニゲームでは時折笑顔がこぼれたように、純粋にサッカーを楽しむ自分がいた。
「ケガもせずに楽しくやれたし、清々しい気持ちでいます」
 トライアウト後のミックスゾーンではやり切った表情を見せた――。

 今年34歳の渡邉大剛は、讃岐を契約満了となった。しかし、現役続行への意思を持つ渡邉は、初のトライアウト参加を決めた。11月中旬にJ2のシーズンが終わったあとも、讃岐の若手メンバーとともに、トライアウトに照準を絞ってコンディションは整えてきた。シーズンが終わったあとも、最後までトレーニングに付き合ってくれた彼らに対して、感謝の念は絶えない。

 大宮アルディージャ在籍時代から親交が深い横山知伸とは、事前に連絡を取り合い、「同じチームになるといいね」と話していたという。そしてトライアウト当日に発表されたチーム分けで横山とチームメートになれたことに妙な安心感を覚えた。さらに同じチームのボランチには経験豊富な松下裕樹の名前もある。

「これはやりやすいかもしれない」
 自分の力を発揮するには絶好の環境だった。
 
 11対11のフルコートゲームでは右サイドMFとして25分ハーフを50分間フル出場。1本目は相手にボールを持たれる時間が長く、相手も最終ラインでボールを回す機会が多かったため、ボールに触れる機会も限られた。

 しかし、2本目は次第にボールに触る機会が増えると、終盤には最終ラインの背後に抜け出した平石直人へ浮き球のパスを通し、決定機を演出。終了間際には大石治寿とのパス交換からゴール前へグラウンダーのクロスボールを供給し、相手ゴールに迫る場面を作った。得意のプレースキックはCKのチャンスが2度あった。最終的にゴールシーンを演出することはできなかったものの、渡邉の持ち味のひとつであるチームの攻撃を循環させる役割は十分に果たしていた。

「パスやクロスボールは自分のセールスポイントですし、短い時間ではありましたが、自分の特徴を出すことはできました。出来としては、まあまあかな、という感じです」
 

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