【指揮官コラム】三浦泰年の『情熱地帯』|複雑な感情で観戦したJ1参入プレーオフ決定戦。そして2018年の終わり

2018年12月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

磐田対東京Vの大一番は、一サッカーファンとして観戦

J1参入プレーオフ決定戦は、自身にゆかりのある静岡の磐田と古巣の東京Vが激突。複雑な心境でゲームを観戦したという。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

試合が終わると試合を見る――。
 これは自チームの試合を見直すという意味だ。
 
 最終節を終え、試合を見るルーティンが崩れていたが久しぶりに試合を見た。J1参入プレーオフ決定戦のジュビロ磐田対東京ヴェルディの試合だ。
 
 そして翌日、イングランド・プレミアリーグの「チェルシー対マンC」「ボーンマス対リバプール」。
 
 プレーオフは久しぶりに人の試合を生で観戦した。プレミアはDAZNの数多く視聴できる海外サッカーの中から、この2試合を選んで90分×2試合。
 
 解説の戸田和幸氏が何を言うのか、現役の太田宏介選手がどんな解説をするのかも興味があり、前後も視聴したので120分×2試合で4時間通してプレミアリーグのサッカーを堪能した。
 
 リーグ戦中は、上のカテゴリーの試合(J1、J2)をなるべく見ないようにしていた。特にJ1、J2を見ると、少し自分自身の感覚がズレるような感じが生まれてしまったからだ。
 
 J3を戦う先に、上のカテゴリーのレベルを知っておくことは重要ではあるが、目の前で起きていることとのギャップが邪魔になると判断して、J1、J2はハイライトでチェックしていた。
 
 シーズン中はそう過ごしていただけに、プレーオフは新鮮に見えた。
 
 リーグ最終節に敗れてプレーオフに回り、名波監督は1週間を苦しんで念入りに準備し、いくつかのシミュレーションを持ったのかもしれない。
 
 カテゴリーは下だが、ノリに乗り、勢いのある相手に対してどう戦うかを考えていたような名波監督と、信じて疑わずやってきたことを思い切りトライするヴェルディの激突。
 
 リーグ戦6位から勝ち上がったヴェルディは、実力のあるチームに勢いに乗れる勝ち方をしてきただけにJ1の壁を痛感することになってしまったであろう。
 
 静岡で育った僕は、清水エスパルス側の人間ではあったが、静岡ダービーが静岡のサッカー発展のためにも一生存在し続けてほしいという気待ちがある。
 
 その一方で、ブラジル留学から戻り、僕をプロ選手として一番最初に認めてくれたクラブが東京ヴェルディ、前身の読売クラブだ。選手時代の古巣であり、監督として昇格の仕事を任されたこともある。
 
 ヴェルディの11年ぶりのJ1昇格を賭けた闘いを心から応援する気待ちを抱きながらも、複雑な感情とともに、一サッカーファンとして試合を見させてもらった。
 

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