サプライズなきメンバー選考…"切り札"を欠く森保ジャパンにラッキーボーイは現われるのか

2018年12月12日 佐藤俊

杉本健勇や鎌田大地など、まったく違うタイプを入れもよかったのではないか

メンバー発表にサプライズはなかった。今大会では中島(10番)ら若手が攻撃の中心を担う。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 基本的には森保一監督になって5試合戦ったメンバーから大きな変更はないと思っていたので、GK、DF、MFはこれまで通りほぼ順当なメンバーになった。この編成には、メンバーに対する森保監督の揺るぎない信頼が感じられる。
 
 欲を言えば山中亮輔のようなDFでありながら1発を持つタイプは国際大会では置いておきたかったタイプだが、怪我があり、今回は選出されなかった。ロシア・ワールドカップ組の昌子源もメンバーから漏れたが、今回は吉田麻也が若手CBを育てるということなのだろう。

 戦い方も過去5試合を踏襲していくものになる。大迫勇也、南野拓実、中島翔哉、堂安律の攻撃のユニットがファーストチョイスとなり、サイドバックやボランチを絡め、個人突破、コンビネーションと多彩な攻撃が軸になる。課題はあるが、破壊力はこのユニットが一番ある。
 
 ただ、攻撃にパワーがあるがゆえに、その攻撃を過信してしまうと相手に術中にハマり、思わぬ落とし穴に陥ることになる。ましてや今回は公式試合、親善試合とは相手の出力が違う。決勝までの7試合、今回も苦しい戦いが予想されるので、そうなると攻撃の基本ユニットとは異なる攻撃的選手の個性がサブには必要となる。
 

 大迫以外のFW陣をどんな顔触れにするのか。ポイントはそこにあると思っていたが、FW登録は、大迫に加え、浅野拓磨、北川航也の3人だけだった。
 
 北川は清水では2トップを組み、相方の個性を活かして、自分も生きてきたタイプ。総合力は高いが、大きな特徴があるわけではない。浅野は1トップの万能型ではなく、スペースがあってこそ生きるタイプ。スタイル的に伊東純也にかぶるところがある。
 
 正直なところ、ふたりの内、ひとりは杉本健勇や鎌田大地などまったく違うタイプを入れておいてもよかったのではないか。同じタイプの選手を投入してもフレッシュさはあるが、状況を大きく打開できるかどうかは未知数だ。はっきりと「変える」という象徴的な選手に入れたほうがピッチ上の効果は得やすい。決勝トーナメントでは苦戦を強いられてパワープレーや空中戦に打って出ることも必要になる。そうした場合、髙さや強さがあるカードが必要になってくる。
 
 似たタイプのFW選考が果たして吉と出るか凶と出るか。

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