【小宮良之の日本サッカー兵法書】 南野らにもライバルを! 期待が持てる森保ジャパンのアプローチ

2018年12月07日 小宮良之

新鋭3人が主軸となりつつあるのは大きな成果

新体制発足後の5試合で4勝1分け・総得点15総失点4という優れた成績を残し、2018年を終えた森保ジャパン。今後も組織の熟成と新戦力の発掘の同時作業を進めていくことができるか。 写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

「(攻撃は)コンビネーションを使いながら、ゴールに向かうかたちは見えてきました。少しずつ、チームとして良いかたちができつつあると思います。(これでアジアカップは)チームとして負けなしで迎えられるんで」
 
 2018年最後の代表戦となったキルギス戦の後、南野拓実は落ち着いた様子で語っていた。
 
 ロシア・ワールドカップ後に発足した「森保ジャパン」の活動ぶりは、ここまで順風満帆と映っている。
 
 コスタリカ、パナマ、ウルグアイに怒濤の3連勝。ロシアW杯出場国を敵に回しながら、想定を上回る内容と結果で、上々のスタートを切った。ベネズエラとは1-1で引き分けたものの、守りを固めたキルギスには4-0で完勝している。来年1月に開催されるアジアカップへの展望は明るい。
 
「アジアカップに向け、高いレベルを示してくれたと思います」
 
 ベネズエラ戦から先発メンバー全員を変えて挑んだキルギス戦後、森保一監督はそう語っている。前の試合も含め、新戦力のテストの意味合いが強かった。
 
「経験が浅く、現時点で実力的にやや足りない選手であっても、代表を経験することによってさらに伸びる、という選手も選んでいます。可能性、伸びしろを評価しての招集ということで。全ての選手が、同じレベルというのではありません」
 
 フラットな目線で見た場合、ロシアW杯の主力メンバーは、今も他を実力的に引き離しているだろう。しかしながら、平均年齢の高いチームだったことは、紛れもない事実だ。長谷部誠、本田圭佑という長く代表チームを牽引してきた2人は、すでに引退を表明している。今後を考えたら、新戦力の登用は欠かせない。
 
 その点、3試合連続得点を決めた南野、さらに中島翔哉、堂安律という新鋭3人が主軸となりつつあるのは、ここまでの大きな成果だろう。いずれも欧州のクラブでプレーを積み重ねており、立ち居振る舞いは堂々たるもの。特にウルグアイ戦(4-3)では、屈強なDFを翻弄し、度肝を抜いた。

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