脈々と受け継がれる勝者のDNA。鹿島ユースが圧巻の勝負強さでプレミアEASTを制覇

2018年12月04日 小室功

1-0の勝利は半数近い8試合。トップチームを彷彿させる勝負強さ

堅守と勝負強さを武器にプレミアEASTを制した鹿島ユース。3年ぶり2度目の日本一を目指す。写真:小室功

 先ごろ、悲願のアジア初王者に輝いた鹿島アントラーズがまたひとつ明るい話題を提供している。
 
 高校年代の最高峰プレミアリーグのEASTを鹿島ユースが最終節を待たずに制し、WESTと相まみえるファイナルへの進出を決めたのだ。
 
 トップからユース、ジュニアユース、ジュニアに至るまで、一貫して勝ちにこだわる姿勢をクラブの基本方針として打ち出す鹿島ならではのニュースに、アカデミー関係者も笑顔を見せた。
 
 チームを率いるのは就任5年目を迎えた熊谷浩二監督だ。
 
「プレミアリーグに参入するようなチームの力は非常に拮抗していて簡単な試合はひとつもない。鹿島ユースとして今年で7シーズン目になるが、この競争力の高いなかで戦うことが選手の成長につながる。まずは残留が目標」としつつも「1試合1試合、チーム一丸となって戦った結果としてEASTでの優勝がある。時折、勘違いしたというか、気持ちの面で緩さが見られたけれど、選手たちが切磋琢磨しながら勝利を重ねることで自信を深めてくれた。ファイナル進出を喜びたい」と続けた。
 
 例年、鹿島ユースの堅守には定評がある。今年もまたリーグ最少の12失点と1試合平均1失点未満を誇っている。1-0の勝利は半数近い8試合。トップチームを彷彿させる勝負強さが浮き彫りになる(17節終了時)。
 
 来季からともにトップ昇格する主力ふたり、FWの有馬幸太郎と左サイドバックの佐々木翔悟がこういって胸を張る。
 
「誰かがミスしても他の選手がカバーする。みんなで助け合えるのが僕らの良さ」(有馬)
「チーム全体で前から守備をする意識が高い。そのなかでチャンスを作ったり、セットプレーを活かして粘り強く勝ってきた」(佐々木)
 
 こうしたチームスピリットの浸透は、熊谷監督をはじめとするコーチングスタッフの指導の賜物にほかならない。キャプテンの前田泰良も「みんなで競争し合いながら、でも、試合になったら同じ方向を見て戦う。そういう気持ちを大切にしようと監督から言われている。チームとしても選手としても成長できた」と、日々の積み重ねに言及している。

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