最多得点、最少失点で独走優勝した川崎、3連覇への条件は?

2018年12月03日 江藤高志

川崎は来季、他チームからさらにリスペクトを受ける存在となる

中村は「来年はもうひとつ上に上げないと、三連覇はなかなか達成できない」と言う。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 高いレベルで攻守をバランスさせた結果が、最多得点、最少失点という記録による川崎フロンターレの連覇につながった。ただ、来季は今季よりもさらに厳しい一年になることが予想される。
 
 今季はロシア・ワールドカップ後に、より守備的に試合を進める相手が増えた。世界がそうであるように真っ向勝負でむずかしい相手なら引いて守る戦いを選択する相手が増えたのだ。それは例えば25節で対戦したガンバ大阪の戦いぶりが典型的だった。公式戦4連敗中のセレッソ大阪の戦いも示唆的。自分たちのサッカーよりも、まず川崎に負けないことを狙う相手に対し、ボールを握り相手を押し込む川崎のサッカースタイルは脆弱さを見せた。
 
 最多得点、最少失点で二連覇を達成した川崎は、来季他チームからはリスペクトを受ける存在となる。今季すでにそうだったように、来季はさらに頑強に守りから入るチームが増えるだろう。そういう意味で三連覇はもちろん、まだ優勝に届かない国内カップ戦、そしてACLの戦いは万全の川崎対策を取られた試合運びを覚悟する必要がある。
 
 今季よりもさらに厳しい日々が予想される中、谷口彰悟は「もっともっと自分たちのレベルを上げていかないと、簡単ではないというのはかなりわかっている」と口にする。
 
 初優勝した昨季のチームの戦い方について「去年見つけたサッカー」と表現する中村憲剛は、連覇した今季を「自分たちが優勝した(昨季の)サッカーに今年はその質を積み上げる。自分たちの質を追求することで、より高いものが見つかった」のだと説明する。そして「来年はそれをもうひとつ上に上げないと、三連覇はなかなか達成できない」と覚悟を見せた。
 
 攻守でレベルアップした今季よりも、来季はさらにレベルアップすることが求められる。
 
 そのなかで課題を指摘するとすれば、パワー系の選手の少なさではないかと考えている。リーグ最少の27失点中セットプレーからが12失点。ジュビロ磐田戦もスローインからの失点だったことを考えると、約半数の13失点と見ることもできる。相手がパワーを掛けてゴールを狙うセットプレーで13失点している一方、昨季CKなどから7ゴールを量産した谷口彰悟は、厳しいマークに付かれたこともあり、3ゴールにとどまった。
 

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