神戸加入のビジャ、特筆すべきは「対応力の高さ」。FW受難と言われたスペイン代表のパスサッカーにも完璧にフィット

2018年12月02日 下村正幸

速さや強さより「巧さ」が特徴のストライカー。

ビジャ(左)の加入によって、イニエスタ(右)のパスがさらに凄みを増すのは間違いない。(C)Getty Images

 アンドレス・イニエスタに続いて、スペインのレジェンド、ダビド・ビジャのヴィッセル神戸への入団が決定した。

 イニエスタがスペイン史上最高の選手のひとりであれば、ビジャはスペイン史上最高のFWのひとりだ。ピチーチ(リーガ得点王)こそ獲得できなかったが、サラゴサ、バレンシア、バルセロナ、アトレティコ・マドリーといずれも名門チームでゴールを量産し続け、スペイン代表として歴代最多となる59得点を記録した。

 特筆すべきは、FW受難と言われたスペイン代表のパスサッカーにフィットしたこと。この事実が、ビジャの対応力の高さを示している。

 タイプ的には、DFの裏を取る一瞬のスピードとタイミングの良い動き出し、勝負どころで見せる高い集中力と、左右両足から放たれる正確かつ鋭いシュートが武器の生粋のストライカーだ。

 密集地帯でのテクニックや判断力の高さも出色で、小柄な身体をものともせずにDFと渡り合いながら、わずかな綻びを見つけては死角に入り、みずからシュートを狙うだけでなく、ワンツーやポストプレー、マークを引き付ける動きでチャンスをお膳立てする狡猾さも併せ持つ。
 
 バルサやスペイン代表では、リオネル・メッシやフェルナンド・トーレスを背後から黒子役としてサポートすべく、左サイドでもプレーするなど献身性も高い。さすがに全盛期と比べるとスピードや身体のキレは落ちているだろうが、もともとそうした「巧さ」に特徴があるタイプで、プロ意識の高さにも定評がある。

 名将ジョゼップ・グアルディオラが当時、「バルサに最適な人材」と判断して獲得に乗り出したように、ファン・マヌエル・リージョ監督が志向するパスサッカーには、まさに打ってつけのFWだ。

 イニエスタの針の穴を射抜くようなパスに、研ぎ澄まされたラインブレイクで呼応したビジャがゴールを仕留める――。スペイン代表やバルサで何度もファンを魅了したプレーが、まもなく日本の地で見られる。

文●下村正幸 text by Masayuki SHIMOMURA
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事