争奪戦が必至! ガンバ快進撃の立役者、ファン・ウィジョは「移籍」してしまうのか

2018年12月02日 飯間 健

選手本人はクラブにも大阪での生活にも愛着が

G大阪でも韓国代表でも大ブレイクしたファン・ウィジョ。欧州の強豪クラブがその動向に熱視線を送っている。(C)SOCCER DIGEST

 12月1日のJ1リーグ最終節、柏レイソル戦を2-4で落とし、ガンバ大阪はクラブ新記録となる10連勝を逃した。

 これで今季の全日程が終了し、リーグ戦は9位。ルヴァンカップが準々決勝敗退で、天皇杯にいたっては初戦で散った。タイトルを求められるクラブとしては、3年連続無冠は物足りない成績と言えよう。だが一時はリーグ最下位まで低迷したチームがV字回復を果たせたのは、韓国代表FWファン・ウィジョの〝ケチャドバ態勢〟に依るところが大きい。

 オーバーエイジ枠として韓国U―23代表の一員としてアジア大会に参戦。9得点を挙げて大会得点王に輝き、2大会ぶりの優勝に貢献した。G大阪に戻ってきた後はクラブタイ記録の6試合連続ゴールをマークし、終わってみればリーグ3位の16得点。韓国A代表ではウルグアイ相手にも得点を叩き出し、レギュラーとしての地位を固めた。

 まさに留まるところを知らない大車輪の活躍。それに加えて、G大阪との現行契約は来年6月で満了する。アジア大会優勝によって兵役免除という恩恵も受けているなか、当然、韓国メディアは「欧州クラブへ移籍か」と煽り、Jリーグ複数クラブも虎視眈々と獲得を狙っていた。

 ただ、G大阪も手をこまねいているわけではない。大ブレイクしたアジア大会後、Jリーグ内の移籍に関して、違約金の設定額を変更した。詳細は明かされていないが、クラブ幹部によると「簡単には手を出せない金額」だという。さらに今冬の契約見直しを明言しており、そこに複数年契約を上乗せするつもりだ。

 
 ファン・ウィジョもクラブへの恩義を感じている。良くも悪くも〝ドライ〟な選手が増えている昨今、苦しい状況下でアジア大会に派遣してくれたG大阪への感謝を常々口にしてきた。またピッチ外に目を移せば、大阪での生活を気に入っている。ファン・ウィジョ自身が移籍を望んでいるという情報は、現時点では少なくとも出てきていない。つまり相思相愛の関係なのである。

 唯一懸念されるのは来年27歳になる年齢だろう。欧州に挑戦するタイミングとしてはギリギリ。本人が将来的な挑戦を望んだ場合の違約金設定がどれくらいになるのかが大きな焦点だ。

 本格的な交渉は近日中にスタート。大物選手の獲得に目が映りがちだが、既存の戦力を慰留させることも大きな〝補強〟となる。

文●飯間健(スポーツニッポン大阪)
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