突然の政権交代が転機に。ガンバを9連勝に導いた18歳の大器、中村敬斗がついに覚醒!

2018年11月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

順風満帆に見えたプロ1年目。だが初めて壁に…

入団当初より明らかに身体が絞れ、シャープさが増した印象の中村。宮本監督も特大の期待を寄せる超逸材だ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 大器がついに目覚めた。

 ガンバ大阪の高校3年生FW中村敬斗がJ1リーグ初ゴールを挙げた。第31節のV・ファーレン長崎戦、1―1で迎えた52分だ。渡辺千真のシュートをGKが弾き、こぼれ球に反応して右足で決めた。「素直にめちゃくちゃ嬉しい。シュートがダフった(撃ちそこなった)けど、ダフったから逆に入ったのかな」。18歳が決勝点を決め、チームを21年ぶりの9連勝に導いた。

 三菱養和SCユースから飛び級でプロ入りして1年目。ガンバにおいては、下部組織出身以外の飛び級は初めてのケースだ。鳴り物入りで加入したプロの世界。年代別代表でも名を上げてきた実力で開幕当初からレヴィー・クルピ前監督に重宝された。J1開幕戦でデビュー、第3節の3月10日の川崎フロンターレ戦では先発起用。同14日のルヴァンカップ(浦和レッズ戦)ではプロ初ゴールを挙げた。

「僕にとって、間違いなく転機でした」

 順風満帆に見えたプロ1年目。だが、突然立場は変わった。

 7月23日、クルピ監督が成績不振で解任され、宮本恒靖監督が就任。新指揮官からは課題を与えられた。それはオフ・ザ・ボールの動き。90分間を通した献身的な運動量、ヘディングの競り合い、ポジションを入れ替えるスピード……。初めてぶち当たった壁だった。

 
 出番も激減する。前監督時代は17試合で14試合に出場。一方、宮本監督体制ではこの日の長崎戦を含めて16試合でベンチ入りが4度、出場はわずか2試合目だった。

「自分と向き合いました。なにが足りないのかな、って。でも、向き合ったら本当に毎日の練習から自分が変わっていった」

 来る日も来る日も居残り練習をした。30分、1時間。他の選手が帰宅しても、たったひとりで練習を重ねた。出場機会が減り"00ジャパン"ことU―19日本代表にも招集されなくなった。まさに、孤独な戦い。それでも戦い抜けたのは、確かな手応えがあったからだ。

「入団した当初、得点以外の部分で見たらプロのレベルに達していなかった。クルピ監督に使ってもらっていて、僕もそこまで危機感を感じていなかった。そこからズルズル来て……、身体もキレていなかった。いまは体重も体脂肪率も変わった。動きやすさが違う」
 

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