金田喜稔がベネズエラ戦を斬る!「詰めの甘さは課題ながら、シュミットと冨安の台頭で最終ラインの“高さ”は世界レベルに」

2018年11月17日 連載・コラム

ゴールは取れるときに取っておかなければ

互いに一度ずつ決定機を逸した堂安(左)と中島(右)。どちらかだけでも決まっていれば……。 (C)Getty Images

 アジアカップに向けて、収穫もあったし課題も見えた試合だった。

 課題のひとつは、やっぱり勝ちきるための追加点を奪えなかったこと。中島のFKから宏樹(酒井)のジャンピングボレーで先制したあとも、日本は何度かいい形を作っていた。

 堂安は(シュートを撃ったのが)利き足とは反対の右足だったからというのもあって決めきれなかったし、中島にしたって、1対1の場面で結局フィニッシュをGKに当ててしまった。もしあの時間帯に2点目、3点目を決められていれば、もっと楽な展開に持ち込めていただろう。

 PKによる1点を与えてしまったのは反省材料。ただ、まあベネズエラがそこまで簡単に勝たせてくれる相手ではなかったというのは、ひとつ理由として挙げられるけどね。

 ただ、「4連勝」がかかったゲームだったし、前回ウルグアイに勝っていたこともあって、当然かなりの期待感を持ちながら観ていた。だからこそ、残念な部分はあるかな。やっぱりゴールっていうのは、取れるときに取っておかないと、勝てるゲームもそりゃあ勝てなくなるよ。

 とくに、いま挙げた堂安と中島のケースは、完全に敵の守備ブロックを崩し切っていた場面でもあったから、なおさら悔しい。1点のリードでは、相手がどこだろうとなにが起こるかわからない。崩されなくても、直接FKを決められたり、今日のようにPKを与えてしまったりということが、実際起こりうるわけだからね。
 
 ただ、勝ちきれなかったゲームではあるけど、大迫、南野、堂安、中島の4人は、攻撃のバリエーションをたくさん見せてくれた。追加点を奪えなかったという絶対的な反省材料はあるにせよ、しっかり崩してシュートで終わった場面は相手より多かったからね。

 中島は前を向いて必ず仕掛けていけるし、堂安もミスはあったとはいえ、自分でシュートまで持ち込んだり、オーバーラップする宏樹や柴崎を使って、チーム全体にリズムを生み出そうとしていた。それでも、とくに堂安は、右サイドにいながらゴールが奪える選手だから、得点を奪えなかったというのは彼自身、納得いっていないんじゃないかな。

 大迫、中島、堂安、南野の4人がいかに機能しているかというのは、後半、彼らに代わって出場した選手たちと比べればよくわかる。

 まだ遠慮があるのかもしれないけど、やっぱり杉本と北川が前線の中央に入ってからは、攻撃だけでなく守備の面でも、たとえば、ボールを追いまわすタイミングだとか、攻から守に切り替えるときの速さだとか、あるいはパスコースの消し方といったもののクオリティが全体的に落ちてしまって、相手の最終ラインに余裕を与えてしまっていた。

 ああいったプレーを見ると、フレッシュな状態で残り20分とか15分とかに投入されてるわけだから、北川も杉本ももっともっとやってくれないとって、どうしても思ってしまうよね。

 彼らに不足しているのは、単純な運動量じゃない。どのタイミングでどのコースに動けばいいかっていう「動きの質」の部分が、スタメンの大迫&南野と比べると大きく劣っているんだ。そういう意味では、途中出場の選手の頑張りっていうのも、いまのチームの課題のひとつと言えるのかもしれないね。
 

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