練習後の補食で体重が1.5キロ増!?高校サッカーの強豪校が取り組む食事改革の舞台裏

2018年11月12日 森田将義

履正社は食事を地元のお弁当屋に依頼。ひとり300円で賄えるのも魅力だ

丼ものを練習後即座に食べ続け、履正社の選手たちは体重が平均で1.5㌔アップしたという。写真:森田将義

 求められるタスクが多い現代サッカーは、90分最後まで走り切れるのが当たり前。フィジカルコンタクトも多く、よりアスリート的な要素が求められるようになっている。これに伴い高校サッカーでもフィジカル能力がより重要視され始めており、今冬の高校サッカー選手権の各都道府県予選でも肉体強化に力を入れている高校が上位へと顔を出した。そのなかで、とりわけクローズアップされているのが練習後の補食だ。
 
 例えば、大阪府予選ベスト4の履正社では4月から週3回、全員で練習後に丼ものを食べるようになった。これまでも栄養講習会で食生活の意識を高めてきたが、各自の意識にバラつきがあったのも事実。履正社の場合、学校からグラウンドまでチームバスで約30分。練習後に学校へ戻り、そこから家に帰るまでの空腹を満たすため、コンビニで菓子パンやジュースを買い食いするケースも少なかったという。こうした食習慣を見直し、少しでも身体に良い食事を摂ってもらうために近所の弁当店にお願いして、丼ものを提供してもらうことになったという。
 
 始めるにあたってポイントとなったのは値段設定。食事代を毎回、生徒から徴収することになるため、高額だと保護者の負担が生じ、足並みが揃わない可能性が出てくる。メニューの理想を言えばキリがないが、補食は続けることに意味があるため、金額はなるべく安い方が良い。「1回500円でも月にすれば、6000円になり、高く感じる。パンとジュースが買えるくらいの値段がベスト」(上原岳大コーチ)という判断から、300円という値段設定に落ち着いたという。
 
 練習に訪れた際のメニューは天丼。各々が机の上に並んだ天ぷらを炊飯ジャーからよそった熱々のご飯の上に乗せ、全員が美味しそうに平らげていく。選手が補食を習慣化するためには、美味しく楽しく食べられるメニューであるのも重要なポイントだ。

「取り組みを通じて、食べることの重要性に気付いてほしい」(上原コーチ)という狙い通り、練習後の補食を始めてからは選手、保護者共に食に対する意識は以前と比べて高まり、試合前後の食事にも気をつける選手も増えてきた。体重も部員72名の大半が増加し、平均で1.5Kgもアップ。中には5kgも体重が増えた選手もいるという。

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