延長後半残り1分に待っていたドラマ!! 岡山学芸館が「延長なら99.9%勝てる」と踏んだ自信の源は?

2018年11月06日 石倉利英

昨年と同じ顔合わせとなった決勝。前評判では作陽有利の声も

2年ぶり2回目の選手権出場を決めた岡山学芸館。作陽との延長に突入した接戦を制した。写真:石倉利英

 ピッチ内での『アドリブ』が、大逆転劇の口火を切った。
 
 高校サッカー選手権、岡山県予選決勝。2年ぶりの出場を狙う岡山学芸館は、常連校の作陽を相手に2点のビハインドを負っていた。試合は0-2で迎えた前半36分、岡山学芸館は自陣からのFKを、DF仲達大翔(3年)が大きく敵陣へ蹴り込む。それまで前線で空中戦のターゲットになっていたのは、4-1-4-1の1トップに入っていたFW前田光輝(3年)だったが、このときは2列目右サイドのMF鶴海翔大(3年)が競りに行った。
 
「競って前に落としても、誰もいないことが続いていたんです。だから直前にポジションチェンジしてもらって、『自分が前に行く』と言いました」
 
 その狙いは的中。高いジャンプで競り勝った鶴海がヘディングでエリア内に送ると、走り込んでいた前田が右足で蹴り込んでネットを揺らす。「ああいうFKのワンチャンスはあるので、決めてやろうと狙っていた」と振り返る1点に、それまで静かだった岡山学芸館の応援スタンドが沸き立った。
 
 昨年度と同じ顔合わせとなった決勝。戦前の予想では、今年2月の新人戦、5月のインターハイ予選を制し、プリンスリーグ中国でも首位を走る作陽が優位との声が多かった。その前評判通り、作陽が前半23分に先制すると、同31分にも追加点を挙げて2-0とリードを広げる。会場のシティライトスタジアムにも"やはり作陽か"というムードが漂い始めていたが、岡山学芸館の高原良明監督が「あの1点が大きかった」と語った前田のゴールが、試合の流れを大きく変えることになる。
 
 岡山学芸館は後半開始からFW岡田知也(2年)を投入し、1トップに置いた。高原監督が「点を取りにいかなければいけないタイミングで出す選手。前半のうちに1点を返したので、最初から勝負に出た」と語った交代策でチームの勢いはさらに増し、岡田のスペースへのランとドリブルが前への推進力を強める。作陽も後半開始から右サイドに入ったFW岸孝宗郎(3年)が、鋭いドリブルでチャンスを作り出すものの、思うようにフィニッシュに持ち込めない。
 

次ページ通算99分に待っていた最後のドラマ

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事