【横浜担当コラム】メディアとはどうあるべきか? 飯倉大樹の言葉に「ハッ」とさせられた

2018年10月28日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「そうやって支えてくれる人たちのためにも、優勝したい」

「その記事を読んで、応援してくれる人たちはいろんな知識を入れたり、楽しみ方を知っていくと思うから」(飯倉)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯決勝]湘南1-0横浜/10月27日(土)/埼玉スタジアム2002
 
「ファンやサポーターのために」
「スタッフのために」
「スポンサーのために」
 
 選手からよく聞かれるフレーズだ。自分以外の誰かのために、全力を尽くす。勝利を届けたいと願う。いいことだと思う。
 
 ただ、自分の経験上、「メディアのために」とはあまり聞かれない。別に言ってほしいわけではないし、こちらも選手やチームのために何か特別なことをしているわけでもないから、特に不満はない。ただ、時に批評しつつも、選手の生き様やチームの戦いぶりを伝え、微力ながらサッカー界の盛り上げの一助になればいいな、とは思っている。
 
 それだけに、飯倉大樹の言葉やその気遣いが嬉しかったし、改めて、身の引き締まる思いがした。
 
「そうやって支えてくれる人たちのためにも、優勝したい」
 
 ルヴァンカップの決勝戦、飯倉は試合中、そんなことも考えていたという。"そうやって支えてくれる人たち"とは、メディアのことを指す。試合後には、「そういう人たちのためにも、タイトルを獲れなくて本当に申し訳なかった」と悲しげな表情を浮かべる。
 
 もちろん、自分たちを取り上げてくれることへの感謝の気持ちもあるのだろうが、それよりも飯倉が意識しているのは、メディアの向こう側にいる人たちなのだろう。
 
「その記事を読んで、応援してくれる人たちはいろんな知識を入れたり、楽しみ方を知っていくと思うから」
 
 トリコロールの守護神は、「いつも良い記事、ありがとうございます!」と言う一方で、「内容が悪かったら、ちゃんと書いてくださいね」とオーダーする。
 
 記者として試合を見るのにチケット代はいらない。しかも割と良い席で、だ。以前、上司から「試合取材を当たり前だと思うな!」とたしなめられたことがある。
 
 そのチームを、選手を、応援している人たちのために、しっかりと伝えられるようにしなければならない。飯倉の希望に添えるような仕事ができるよう、サッカーの魅力を広く伝えられるようにまた頑張ろうと思った、ルヴァンカップ決勝だった。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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