「プレミアでも十分通用する。でも…」“人気銘柄”堂安律の近未来を英国人記者はどう見ている?

2018年10月28日 マイケル・プラストウ

パク・チソンは最高のロールモデル

早くも森保ジャパンでの立ち位置を盤石なものとしつつある堂安。はたして早急なステップアップ移籍は実現するのか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表の若きアタッカー、堂安律に対して、マンチェスター・シティやアトレティコ・マドリー、さらにはユベントスといった名門クラブが関心を寄せているという。確かなクオリティーを持つ選手だから注目を集めるのは当然だが、彼はまだ20歳だ! 冷静に受け止める必要があるだろう。
 
 堂安にとっても日本のサポーターにとっても、噂の域を出ないとはいえ、嬉しいニュースなのは間違いない。欧州で高い評価を得ているからこその報道であり、私自身もそれに値する選手だと思う。一方で、現実的な話をすれば、彼はまだプロ選手としての入り口に立ったばかり。本格的に成長を遂げていくのはまさにこれからで、いまはこの「成長」というキーワードを最優先に考えなければならない時期だ。
 
 最高のロールモデルがある。マンチェスター・ユナイテッドでプレミアリーグを4度制した元韓国代表、パク・チソンだ。彼は堂安と同じ20歳の頃、まだ京都パープルサンガの一員だった。21歳の時に日韓ワールドカップでブレイクし、オランダのPSVアイントホーフェンに入団したのは22歳の誕生日直前。ユナイテッドに活躍の場を移したのは、ちょうど脂が乗り始めた24歳だった。
 
 24歳だと、十分にレギュラーを張れる年齢だ。換言すれば、ユナイテッドはパク・チソンをレギュラー候補として獲得した。では翻って、マンチェスター・シティなどはどこに主眼を置いて20歳の堂安を手に入れようというのか。よく吟味しなければならない。

 
 確かに世界的に見ても、20歳は若すぎる年齢ではない。シティにはブラジル代表の21歳、ガブリエウ・ジェズスがいる。19歳でフル代表デビューを飾り、20歳でシティに移籍した。堂安にとってはポジティブに捉えられる前例だろう。ほかにもイングランドの若きホープ、フィル・フォッデンが伸び盛りだ。18歳ながら少しずつシティで出場機会を得ている。
 
 とはいえこうしたケースは稀で、若手にとってはかなり狭き門だ。プレミアリーグではパク・チソンのケースが圧倒的にノーマルで、参考にすべきは彼のキャリアプランだろう。

次ページどこかほかの中堅クラブへ出されるくらいなら…

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