【鹿島】大ブーイングを響かせた水原三星サポに対し、クォン・スンテが示したある行動

2018年10月25日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

実に紳士的で、相手をリスペクトするような振る舞いだった

敵地での第2レグでは痛烈なブーイングが届いたが、クォン・スンテは最後まで集中を切らさず、いくつかのビッグセーブでチームを救った。(C)SOCCER DIGEST

【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
 
 試合が始まってしばらくして、"異変"に気づいた。鹿島のGKクォン・スンテがプレーに関与するたびに、水原三星のサポーターが陣取るエリアから重低音のブーイングが響く。
 
 自分たちよりもリーグの優勝回数が多い元全北現代の選手だからか、あるいは第1レグでの行為――自陣ゴール前での激しい攻防を巡り、相手選手に詰め寄って頭突きをするような仕草を見せる――が許せなかったのか。その理由は分からないが、とにかくクォン・スンテは"標的"にされていた。
 
 厳しいアウェーの環境のなか、それでもクォン・スンテは落ち着き払ったプレーで前半を無失点に抑える。そして、エンドが代わる後半。ハーフタイムが終わり、クォン・スンテが自分の持ち場へと向かう。ゴールの裏には、水原三星のサポーターたちがいる。やはり、特大のブーイングが聞こえてくる。
 
 その時、クォン・スンテは掲げた手を静かに二度、合わせて、水原三星サポーターに向かって、丁寧にお辞儀をした。
 
 それがどんな意味を持っていたのかは、本人に話を聞くことができなかったので知る由もないが、少なくとも嫌みな感じはまったくなく、実に紳士的で、相手をリスペクトするような振る舞いだった。
 
 後半は水原三星のサポーターの目の前で3失点を喫し、精神的に辛かったかもしれない。だが、セービングがブレるようなことはなく、最後まで集中を切らさず、いくつかのビッグセーブで致命傷になりかねない4失点目を与えなかった。
 
 タフなゲームだったが、強靭なメンタルを持つ守護神の奮闘がなければ、鹿島のファイナル進出はならなかっただろう。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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