【鹿島】転機となったあの“円陣”は誰の呼びかけで? 何が話し合われたの?

2018年10月25日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

自発的に集まり、気持ちをひとつにして、戦術面の修正も図る

3失点目直後の円陣が転機となり、1-3から試合を振り出しに戻して合計スコア6-5とし、決勝へと駒を進めた。(C)Getty Images

【ACL準決勝②】水原三星3-3鹿島/10月24日/水原
 
 このままではまずい――そんな想いを選手たちは強く感じ取っていたのだろう。
 
 1点リードで迎えた後半、52分に同点に追いつかれると、その1分後にセットプレーから2点目を奪われ、さらに7分後に3点目を許す。
 
「全員、集中してはいたと思うんですけど、相手の勢いもあって。ああやって連続で決められるのは、なかなかないこと」と、安西幸輝もあっとういう間の3失点を振り返る。
 
 1-3のままでは、トータルスコア4-5となり、決勝に進むことができない。そこで選手たちは、ゲーム再開のキックオフの前に一度、集まった。
 
 この"円陣"は誰の呼びかけだったのか。
 
「誰がっていうか、自然と集まって。(三竿)健斗も言うし、俺も言うし、(鈴木)優磨も『来い』って言うし。監督の指示を聞く時間もないから、そうやってピッチの中で(意見を)合わせていかないといけない」(昌子源)
 
 では、そこではどんな話し合いがなされたのか。
 
「1点取れば(トータルスコア5-5の)同点だからっていうふうに、全員が意思疎通できていた。そこは勝敗を分けたのかなと思います」(安西)
 
 守備の立て直しについても確認し合った。
 
「この後も(相手の)ロングキックが続くと思うから、ボールホルダーにもっとしっかり寄せようっていう話と、俺らはラインを上げられないから、健斗が俺らのラインに入って、吸収されて、(チョン・)スンヒョンが競った後に、俺と健斗がCBみたいにやるとか、そういうイメージで、セカンドを必ずうちが拾うっていう話もできていた」
 
 その後、時間は約30分残されていたが、守備では致命傷になりかねない4失点目を与えず、攻撃では西大伍、セルジーニョがゴールを決めて、追いついてみせる。これで2戦合計6-5とひっくり返し、そのままタイムアップ。
 
 自発的に集まり、気持ちをひとつにして、戦術面の修正も図れたあの円陣が転機となったのは間違いない。「いろんな選手が、いろんなことを言えるようになってきた」(昌子)チームは、試合を重ねるごとに逞しくなり、力強く初のアジア制覇へと突き進んでいる。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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