【J1優勝争い】勢いは当てにできない? 川崎と広島の結末を読み解く鍵は…

2018年10月24日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

16年の名古屋の例を見ても

優勝を激しく争う川崎と広島。最後に笑うのは? 写真:Jリーグフォト

 最初に触れたいのは優勝争い。残り4節で、すでに1位の川崎(勝点60)と2位の広島(勝点56)に事実上絞られた。ただ、18節以降、8勝3分2敗と調子を上げてきた前者に対し、後者は4勝3分6敗と失速中。勝点差は4とそれなりに競り合っているが、その戦績から分かるように"勢い"には歴然たる差がある。
 
 だから、川崎が断然優位と、そんな見方もできるだろう。しかし忘れてはならないのが、この2チームは30節終了後から12月1日の最終節まで二度の中断期間を挟むという点だ。

 10月27日にルヴァンカップの決勝、11月には代表活動(16日がベネズエラ戦、20日がキルギス戦)があるため、J1の30節(10月19~21日)~31節(11月2~4日)、32節(11月10日)~33節(24日)の間がそれぞれ2週間も空くのだ。したがって、勢いだけで今後の展開を予測するのは難しいだろう。
 
 勢いがあまり当てにならないのは、2016年シーズンの名古屋の結末を振り返れば理解できるはずだ。
 
 この年、小倉隆史新監督の下でスタートダッシュに失敗した名古屋は、第1ステージ(当時は2ステージ制)の11節からリーグ戦で18試合未勝利とどん底に近い状態に陥る。だが、8月下旬からボスコ・ジュロヴスキー政権に移行し、15年末に退団した田中マルクス闘莉王を約10か月ぶりに呼び戻すと、新体制発足後の5戦は3勝1分けと持ち直した。結果、第2ステージの14節終了時点で残留圏内の15位に浮上したのだ。
 
 しかし、5-0と圧勝した福岡戦(14節)の直後に設けられた3週間の中断期間がチームの歯車を狂わす。いつしか勢いは消えてしまい、相手に対策を練られたこともあり、ラスト3試合は1分2敗……。それまでの快進撃が嘘のようにスローダウンし、クラブ史上初のJ2降格が決定した。
 
 残留を争っていた名古屋の話をここでされても……、という意見もあるだろうが、勢いが如何に不確定な要素かを示す一例であることは間違いない。
 

次ページ技術や組織力とは別の要素で勝敗が分かれる時もある

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