【東京V】あるぞJ1自動昇格! ロティーナ流、驚異のオートマティズム

2018年10月21日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

怒涛の人海戦術で豪快に寄り切った!

殊勲のヒーローとなった李栄直がサポーターの声援に応える。ゲーム終盤、チームはその“高さ”を存分に活用した。(C)TOKYO VERDY

[J2リーグ第38節]東京V 2-1 徳島/10月21日/味スタ

 絵に描いたような幕切れだった。
 
 10月21日、J2リーグ第38節。本拠地・味の素スタジアムに徳島ヴォルティスを迎えた東京ヴェルディは、アディショナルタイムの劇的弾で見事に3ポイントを奪取した。この日、J2上位陣は軒並み引き分けか負けに終わり、勝点3を上積みしたのは東京Vと大分トリニータの2チームだけ。緑の軍団はプレーオフ圏外の7位から一気に4位へとジャンプアップを果たし、歓喜の咆哮を轟かせた。
 
 終わってみれば、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の采配がことごとく当たった試合だった。
 
 前節の水戸ホーリーホック戦(1-0勝利)で上々の出来だったドウグラス・ヴィエイラと梶川諒太をベンチスタートとし、レアンドロと井上潮音を先発させた。スペイン人指揮官は「相手の特性との関係性や、試合前のコンディションなどを考えて(先発を)決めている」と明かす。
 
 レアンドロは夏の移籍後初先発で、開始6分に敵DFの不用意なバックパスをかっさらって先制点に繋げた。あくまで結果論だが、あそこを抜け目なく狙うのがJリーグを知り尽くした助っ人の真骨頂で、ドウグラスなら結果は違っていたかもしれない。21歳の井上も渋い役割をこなした。攻めては散らしのパスとフリーランが冴え、守っては時にアンカーの内田達也と並びながらピンチの芽を摘んだ。東京Vと同様、中盤での構成力が自慢の徳島が相手。指揮官は機動力の梶川より、バランス感覚に秀でる井上をチョイスしたのである。

 
 とはいえ、易々とは逃げ切れなかった。内田は「本当ならあのままリードを保って2点目を取らないといけないんですけど、徳島はJ2でダントツの攻撃力があるチーム。簡単じゃなかったですね」と語る。自陣に押し込まれていた65分、左サイドをえぐられると、最後は中央のバラルに同点ゴールを奪われた。
 
 ここからはお互いにノーガードに近い、オープンな撃ち合いだ。徳島がピーター・ウタカを投じれば、東京Vも李栄直、渡辺皓太をピッチに送る。効果の違いは明らかだった。同点とされる前にドウグラスを入れていた東京Vは、この人海戦術によって攻撃のギアを一気にふたつみっつと上げたのである。ドウグラスが足下で受ける基準点となり、李は左右に位置を変えながら、こちらは空のターゲットマンとして何度もエアバトルを制した。

 90+3分、左サイドを打破した泉澤仁のクロスを李が渾身ヘッドでゴールにねじ込んだのは、ミラクルでもなんでもなかった。
 

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