堂安や冨安には負けられない!“違い”を生み出せる中山雄太が柏をJ1残留へ導く

2018年10月21日 鈴木潤

CBの人材難が低迷を招いた原因のひとつだった

中山は名古屋戦で怪我からの復帰後リーグ戦初スタメンを飾った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 今季の柏は中断以降、CBの人材難に苦しめられてきた。中谷進之介は名古屋へ移籍し、中山雄太は6月のトゥーロン国際大会の負傷によって長期離脱を余儀なくされた。ベテランの鎌田次郎も怪我で戦列を離れ、新加入のナタン・ヒベイロは戦力として食い込めず、パク・ジョンスは著しく調子を落としている。これらは今季の低迷を招いた原因のひとつでもある。
 
 だが、その問題は改善の兆しを見せつつある。9月の鈴木大輔の移籍加入に続き、前節の広島戦で中山が5か月ぶりに戦列復帰を果たした。そして今回の名古屋戦では、中山が復帰後リーグ戦初スタメンを飾り、数々のプレーで最終ラインでは違いを見せた。
 
「名古屋は前半、前からプレッシャーに来ることが多かったので、そこで来たら自分が剥がせばいいぐらいに思っていました」(中山)
 
 相手FWが勢いを持って中山へプレッシャーを仕掛けても、彼はその勢いに怯むどころか、相手が自分に寄せてきてくれるのはむしろ大歓迎。餌を撒くかのようにあえて相手を食いつかせ、中山独特の駆け引きのうまさと柔軟なボールテクニックでプレッシャーを剥がした後は、自ら敵陣へボールを運んでいく。もし他の選手がプレッシャーに来るのなら、そのズレを利用して空いたスペースを突くか、フリーになった味方選手へパスを付ける。さらに視野も広いため、両サイドに広大なスペースを見つければ、伊東純也やクリスティアーノへ送る正確無比のフィードで局面をガラリと変える。それらは中山不在時の夏場には見られなかった攻撃の形だ。
 
「雄太がボールを持った時にはクリス(クリスティアーノ)に絶対に蹴ってくるから、そこは意識していた」(中谷)
 
 初の古巣対戦となった中谷は、長らくコンビを組んでいた中山の特長を熟知するからこそ、そこには強い警戒の念を持っていた。
 
 広島戦の復帰から、ルヴァンカップを含めて名古屋戦が4試合目。5か月も実戦から離れていたとあって、必ずしもコンディションや試合勘は万全とは言えないが、中山自身は「試合を重ねるごとに上がってきている」と語っている。裏を返せばまだ万全な状態ではないにも関わらず、これだけのクオリティを発揮できるのだ。これからリーグ終盤戦に向けて、中山のプレーの精度はさらに研ぎ澄まされていくことが予想される。
 

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