呪われたマルセイユ守備陣にあって、酒井宏樹は仏メディアにどう評価されているのか

2018年10月04日 結城麻里

開幕8戦で16失点はリーグワースト2位

調子の上がらないマルセイユながら、酒井は左右両サイドで孤軍奮闘の印象だ。(C)REUTERS/AFLO

「ここでまずサカイが抜かれましたね。そして……」
 
 9月30日、いまをときめく解説者のアビブ・ベイユがこう語った。スローモーションでテレビ画面に映し出されたのは、リールの"風雲児"ニコラ・ペペが猛スピードでゴールを目ざすシーン。リーグアン第8節、リール対マルセイユ戦前半のひとコマだった。
 
 だが徐々に、実況アナのトーンが変わってくる。
 
「サカイ、ここまでのところ、ペペに対してよく切り抜けていますよ」(前半戦終盤)
「サカイ、上手く守りました」(後半)
「あ、またサカイです、サカイ、守りました!」(後半)
 
 酒井宏樹はこの試合で、またしても左SBを担当し、恐るべきペペと直接対峙した。本職のジョーダン・アマビが前節のストラスブール戦で一発退場となったためで、酒井はそのときも試合途中から左SBに投入され、土壇場で奇跡の決勝ゴールをアシストする大活躍(3-2で勝利)。今回のリール戦でも、酒井は決してペペに決定的な仕事をさせなかった。
 
 このため翌10月1日付のフランス全国紙『L’EQUIPE』も、「ブバカール・カマラはどちらかと言うと良かったし、ヒロキ・サカイも長い時間ペペを防ぎ、思い通りにはさせなかった」と評した。

 
 だが、このリール戦でマルセイユ(OM)は、悪夢の敗北を喫した(0-3)。酒井が陣取るサイドを突破できなかったペペは、中央突破やカウンターで後方からスペースに飛び出すなど攻撃のバリエーションを駆使して襲いかかり、ただでさえ呪われていたOMディフェンス陣を、これでもかと切り崩したのである。
 
 今季のOMディフェンス陣は、CBのロランドが怪我で出遅れ、同じくCBのアディル・ラミもミスを重ねた末にやはり負傷離脱。そして守護神ステーブ・マンダンダもミスと怪我に泣く。新加入のクロアチア代表CBドゥイェ・チャレタ=ツァルとアマビはともにレッドカードを頂戴して試合を壊した。本職でもないのに懸命にCBを担うルイス・グスタボが、窮地に陥ってしまうのも致し方ない状況だ。
 
 こうしてOMは9月下旬の8日間で、なんと9失点を喫する異常事態に追い込まれた。開幕からの8戦合計でもすでに16失点と、リーグワースト2位の数値をマークしている。
 

次ページ2節のニーム戦では2失点に絡んで酷評されるも

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