【現地発】シメオネが「素晴らしい!」と絶賛する中盤こそアトレティコ浮上の原動力だ

2018年10月03日 エル・パイス紙

分岐点となったのがCL1節のモナコ戦。

中盤が機能しはじめたことで、グリエーズマンは前線でやるべき本来の仕事に集中できるように。(C)Getty Images

 開幕当初の躓きを経て、上昇気流に乗るアトレティコ・マドリー。その分岐点となった試合が、チャンピオンズ・リーグのグループステージ第1節、モナコ戦だった。

 この試合でディエゴ・シメオネ監督は、4-4-2から転じたコケを偽の左サイドハーフ的に使う4-3-3システムを採用。中盤を厚くする指揮官の狙いは見事に的中した。モナコに先制点を許しながらも(18分)、パス本数で相手を大きく上回り(アトレティコの589本に対し、モナコは396本)、精度でもハイアベレージを記録した(パス成功率83%)。

 攻守両面において、その中心となったのがコケとロドリで、それぞれ83本と82本のパスを成功させた。さらに、ふたりの中盤での奮闘の恩恵を受け、エースのアントワーヌ・グリエーズマンは前線に残っていつも以上にフィニッシュに専念。こうしてアトレティコは、シメオネ監督が思い描いた通りの攻撃を繰り出し続けた。

 指揮官はモナコ戦後、満足げにこう語っている。

「アントワーヌ(グリエーズマン)はペナルティーエリア付近でプレーしてこそ、危険度が増すその本領を発揮してくれた」
 
 ジエゴ・コスタ(31分)とホセ・ヒメネス(45+1分)のゴールでスコアをひっくり返し、迎えた後半も安定したパスワークでゲームをコントロール。前述のふたりに比べると中盤の組み立てに絡む機会は少なかったが、左サイドに流れ、モナコの右SBジブリル・シディベの攻撃参加を封じたサウール・ニゲスの働きも光った。

 さらにインテリオールを起点とする新たな役割とポジションを、着実に自分のものにしつつあるアンヘル・コレアも、再三効果的なパスをゴール前に供給。グリエーズマンとともに前線で攻撃を牽引した。DF陣では決勝ゴールに加え、ヘディングだけで6本のクリアを記録したヒメネスの堅守が出色だった。

 モナコ戦後、シメオネ監督は「素晴らしい出来」という言葉を、何度も繰り返した。この試合では70分からピッチに立った新加入MFのトマ・ルマールもチームにフィットしつつあり、実力者のトーマス・パーテイも控える。

 アトレティコ浮上の原動力になっている中盤。充実した顔ぶれを誇るセクションだけに、今後の戦いの中で、対戦相手に合わせてどのような組み合わせを用いるのか、指揮官の決断に注目が集まる。


文●ゴルカ・ペレス(エル・パイス紙)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 

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