【札幌】勝利のために、道民のために――都倉賢が終了間際のPKに込めた想い

2018年09月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「責任のある仕事なので、やりがいはある」

多くの札幌サポーターの目の前で冷静にPKを流し込む。さすがの都倉も「緊張した」というが、決めればほぼ勝利は確定というシチュエーションは「最高」でもあった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ28節]札幌 2-1 鳥栖/9月29日/札幌ド
 
 勝負を決するゴールは、1-1で迎えた90+5分に生まれた。
 
 パワフルな仕掛けで、相手ペナルティエリア内でファウルを誘った都倉賢が、自ら奪取したPKをゴール左に流し込み、ネットを揺らした。
 
 目の前のゴール裏には、たくさんの札幌サポーターが陣取っている。「ロスタイムで、蹴ったら(試合が)終わりだと思っていた」という大事な局面。決めたらほぼ勝利は確定というシチュエーションで、さすがの都倉も緊張したという。
 
「あれでもし外していたら、みなさんも今日は僕に取材しなかったと思います」と報道陣を笑わせた後、こう続ける。
 
「あのワンプレーで、今日、見に来てくれたたくさんの方々の午後が、ちょっと素敵な時間になる可能性もあると思う。そういう責任のある仕事なので、やりがいはある」
 
 甚大な被害が出た9月6日の北海道地震の後、チームは川崎、鹿島と戦い、痛恨の2連敗。勝てない時期は「闇のような2週間」だった。
 
 だからこそ、この鳥栖戦の勝利は格別なものがあるのだろう。
 
「道民のみなさんが苦しんでいる時に、僕らも勝てなくて。でも、自分たちの頑張りで何かを変えられるというのは、サッカーを通して見せられたと思う。辛い思いをしている方たちが、ポジティブな印象を受けてもらえたら、僕らとしてはすごくありがたいです」
 
 鳥栖戦は7試合ぶりのスタメン落ちで、本人にも期するものがあったはずだ。74分に投入されてから、身体を張ったプレーで前線を活性化し、最後に大仕事をやってのけた。
 
 チームトップの12得点。目標とする来季のACL出場権獲得のために、そしてひとりでも多くの道民が笑顔になれるよう、都倉はより一層の強い気持ちでピッチに立ち、ゴールを狙い続ける。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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