【セルジオ越後の天国と地獄】日本サッカーの強化にはJリーグの改革も必要だ

2014年07月24日 週刊サッカーダイジェスト編集部

クラブが選手の“留学”を後押しするのはお門違い。

目立った新戦力はアルディージャのこのムルジャくらい。柿谷を“留学”させたセレッソは、明らかな戦力ダウンだ。 (C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト8.5号(7月23日発売号)より

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 約2か月の中断を経て、J1リーグが再開したね。再開初戦では、首位のレッズがアルビレックスに競り勝ち、2位のサガンは4位のヴィッセルを下して上位対決を制した。一方で、チャンピオンのサンフレッチェが、アルディージャに3点のリードを追いつかれる驚きのドローもあった。サポーターたちも、久しぶりのスタジアム観戦を楽しんだと思う。
 
 ただ、今年も混戦で突出した力を持つチームが見当たらないね。首位のレッズにしても絶対的な力があるわけではないし、3連覇を狙うサンフレッチェは完全に息切れしている。リーグ再開に先駆けて行なわれた天皇杯では、アントラーズやヴィッセル、ベガルタがJFL
やアマチュアに負けたし、Jクラブ全体の力が落ちているのかもしれない。
 
 ワールドカップによる中断期間は戦力を高めるチャンスだったのに、目立った補強をしたチームはほとんどなかった。再開初戦で期待感を抱かせたのは、アルディージャのムルジャくらいじゃないかな。
 
 柿谷を放出したセレッソは、むしろ戦力ダウンしているでしょ。本気でタイトル獲得を狙っているのなら、レギュラーの放出は避けるはずなんだけどね。仮に放出しても、代役を獲れるくらいの見返りを要求するものだ。それを度外視して選手を送り出しているようでは、優勝なんて望めないよ。
 
 まあ、ここ何年もJリーグからの選手流出が続いているけど、どのクラブも穴を埋めるだけの補強ができていない。抜かれるばかりのジリ貧で、ハイレベルなワールドクラスの選手を獲れていないんだ。だから、エンターテインメント性は下がる一方。Jリーグ本部も各クラブも、観客動員数の低下を気にしているようだけど、魅力的なタレントが国外に流出しているのだから、減るのが当たり前だよ。
 
 質の高いパフォーマンスの対価として、観客からお金をもらうのがプロだ。そのために、よりレベルの高い選手を揃える努力をするのが、クラブの仕事だよね。でも、Jクラブはそうではない。要するに、アマチュアなんだよ。代理人にいいように選手の移籍をコントロールされている現状を見れば、それが良く分かる。中心選手を"留学"させるのに抵抗がないんだ。むしろ、ラストマッチと銘打って興行にしてしまう。選手のステップアップはポジティブなことだけど、それをクラブが後押しするのはお門違いだよ。

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