必然だった森保ジャパンのPK獲得、マレーシアの守備はあまりに無謀過ぎた

2018年08月25日 清水英斗

マレーシアは試合序盤からリスクが大きい守備をしていた

球際に激しくきたマレーシアの守備に日本は苦しめられたが、終盤にPKを獲得して勝ち切った。写真:徳丸篤史

 アジア大会・決勝トーナメント1回戦、U-21日本代表はU-23マレーシア代表と対戦し、1-0で勝利を収めた。中2日の27日に行なわれる準々決勝では、U-21サウジアラビア代表と戦う。
 
 マレーシアはフィジカルが強く、球際の激しいチームだった。その一方、無謀なタックルに来る傾向も強く、ペナルティエリア内であろうとお構いなし。それは試合の序盤から明らかだった。
 
 たとえば6分の場面。ペナルティエリアの角に抜け出して前を向いた岩崎悠人に対し、17番のDFイルファン・ザカリアがいきなりスライディングタックル。軸足が引っかかって岩崎を倒した。さらに挟みに来た7番MFバドロル・バクティアルも、不用意に突っ込んで、岩崎を背中側から押し倒してしまう。どちらもボールに触っていない。PKの笛は吹かれなかったが、決定機に至っていないペナルティエリアの角でチャレンジする守備としては、リスクが大きすぎた。
 
 88分に日本がPKを獲得した場面も、起こるべくして起こった。裏のスペースへ飛び出したFW上田綺世に対し、14番のDFドミニク・タンは後ろからスライディングタックル。横のスロー映像で見返すと、タンのつま先はほんのわずかにボールに当たっているが、あまりに微細で、縦方向から見ていた主審には視認できなかっただろう。また、タックルの角度が悪く、上田の足にも当たっているので、PKと判断されても仕方がない。
 
 この場面はビッグチャンスだったので、一か八かのスライディングタックルも理解するが、試合全体を通して、粘り強くスタンディングで守備をする日本と、無謀に飛び込むマレーシアの違いはあった。
 
 そして、そんなディテールが勝敗を分けるほど、日本とマレーシアが拮抗していたことも確かだ。前線のタレントを活かしたマレーシアのカウンターサッカーは、強烈の一言。グループステージ第3戦で敗れた、プレッシングサッカーのベトナムとは異なるタイプの難敵だ。東南アジアも多様である。
 

次ページ上田が示した愚直さは、今後に向けて大きな意味を持つはずだ

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事