「ピルロは感動モノのレベル!」元日本代表・小林大悟が米国で体感した超有名選手たちの凄味

2018年08月22日 佐々木裕介

MLSは“超有名な選手”か“そこそこ出来る(選手生活)晩年の選手”が生きる場

インタビューに応じてくれた小林。アメリカでは6年目のシーズンを戦う。写真:佐々木裕介

 小林大悟という選手を憶えているだろうか。高校サッカーの名門・清水商では、小野伸二も系譜にあるエースナンバー「8」を背負い、卒業後は東京ヴェルディへ入団。いまや日本で時の人となっているアンドレス・イニエスタ(神戸/元スペイン代表)やダニエウ・アウベス(パリSG/ブラジル代表)、ハビエル・マスチェラーノ(河北華夏/アルゼンチン代表)らと時を同じく出場したワールドユースUAE大会では、日本代表ベスト8進出の原動力に。その後、大宮アルディージャでの活躍が認められると、オシム・ジャパンにも選出されるなど、将来を嘱望された逸材だった。そんな若人も35歳になり、いまもなお、アメリカで現役としてプレーしている。彼が今季、新たな挑戦の地として選んだラスベガスで話を聞かせてもらった。

 
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――メジャーリーグ・サッカー(以下、MLS)のクラブへ移籍されたのが2013年1月、プレーされてみての印象は?
「やり難さしかなかったですよ。この国の文化がサッカーへ直に反映されている感じで。自分が幼少期から学んできたサッカーの感覚値でプレーするとまったく合わないんですよ。これって各々のサッカーレベルの話ではなくて、ベースがまったく違うんです。なので、今まで培ってきた感覚を一度捨てないと……。葛藤が凄かったです」
 
――サッカー先進国からも注視されるようになったアメリカ市場ですが、日本人選手が少ない環境をどのように感じていますか?
「アメリカでサッカーをするには多くの壁があるように感じます。大きいのは市場都合ですかね。アメリカ代表クラスの選手は皆、ヨーロッパでプレーしたいと思うなかで、MLSでは"超有名な選手(特別指定選手〔DP〕/リーグが選手給与を一括管理するなかで、クラブが独自に予算決定して良い制度を適用された選手)"か"そこそこ出来る(選手生活)晩年の選手"が生きている場だと思うんです。またどこのチームも"若い""安い""高品質(良い選手)"を取りたいなかで、若く有望な日本人選手がいきなりアメリカでプレーしたいとは思わないですよね。そこが大きいと思います」
 

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