【岩本輝雄】タッチが繊細なイニエスタは、言うなれば一流のピアニストだ!

2018年08月21日 サッカーダイジェスト編集部

彼はその両足でサッカーを“奏でている”

イニエスタの武器のひとつが、正確無比な「止めて」「蹴る」。繊細で軽やかで滑らかなボールタッチは、まるでピアノを弾いているみたいだった。(C)SOCCER DIGEST

 現地でバルサの試合は何度も見てきたけど、ヴィッセルのイニエスタもやっぱりイニエスタだった。
 
 8月19日のベルマーレとの一戦は、2-0でヴィッセルの勝利。直近のジュビロ戦、サンフレッチェ戦と続けてゴールを決めていたイニエスタの3戦連続弾はならなかったけど、その存在感は際立っていたよね。
 
 イニエスタを見ていると、いつも思うのが、ピアノを弾いているみたいだなってこと。繊細なボールタッチは軽やかで滑らか。一切無駄がないし、余計なことはしない。こういう表現が正しいのか分からないけど、彼はその両足でサッカーを"奏でている"。心地よい音楽を聴いているみたいになるから不思議だよ。
 
 難しいことはしない。ボールを「止めて」「蹴る」がとにかく正確。フリーの状態はもちろん、中盤の密集地帯で相手に寄せられても関係なく、意のままにテンポ良くパスを捌いていく。加えて、味方をフリーにさせるオフ・ザ・ボールの動きも秀逸だ。
 
 もちろん、そこには非凡な技術と戦術眼が土台になっていると思うけど、イニエスタはそれをあまり感じさせない。「こんなの普通だよ」という感じ。たとえば、パスを受ける際、マーカーが近くにいれば、インサイド、アウトサイドを使って、取られないところにボールを完璧にトラップする。視野が広いんだろうね、ファーストタッチで相手の逆を取ったりもする。キープして、相手を食いつかせてから、シンプルなワンツーでかわす。それが実に効果的だったよね。
 

次ページ味方がもう少しイニエスタの近くにいれば――

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事