「私たちは絶対にやるよ!」名伯楽エンゲルスが語ったイニエスタと神戸の未来

2018年08月20日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

「本当に嬉しいですよ」と笑顔で話した名伯楽

イニエスタ加入の効果を語ったエンゲルスコーチは、チームの成長ぶりに満足しているようだ。 (C) Getty Images

[J1リーグ23節]湘南 0-2 神戸/8月19日/ノエスタ

 今年7月末に電撃移籍を決めてから約1か月。ヴィッセル神戸において、アンドレス・イニエスタの存在価値は日増しに高まっている。

 この日もイニエスタの放った存在感は絶大だった。惜しくも3試合連続ゴールとはいかなかったが、序盤から軽やかなステップワークも披露し、スコアレスで迎えた37分には、敵のペナルティエリア内で待っていた長沢駿に柔らかいロブパスを供給して先制点の起点となった。

 そんなイニエスタの活躍もあり、神戸はここ3戦無敗。順位も3位・FC東京と勝点差4の4位と、来シーズンのアジア・チャンピオンズリーグ出場圏内も見え始めている。

 湘南戦後、根っからの生真面目であるイニエスタは、「僕自身もチームメイトのことを分かってきた。この調子で続けていくだけです」と謙遜気味に語ったが、周囲はスペイン・サッカー界のレジェンドが加わった効果をどう考えているのか。「言わなくても分かるでしょ。言うことなし」と笑顔で話したのは、ヘッドコーチのゲルト・エンゲルスだ。
 
 今年1月にヴィッセル神戸に招かれ、10年ぶりにJリーグに戻ってきてから神戸の変化を見続けているエンゲルスコーチは、7月にイニエスタが加入してからの変わりようを話してくれた。

「みんな言わなくても分かるでしょ? なにも言わなくていい(笑)。ただ、本当に凄いよ。まだ、始まったばかりだからこれからだと思うけど、彼の存在は大きいね。世界のトッププレーヤーである彼が来てくれたのは、本当に嬉しいよ」

 前節から中3日という過密スケジュールということもあり、この試合でイニエスタに疲労の色がなかったわけでない。湘南のハードなディフェンスに後手に回る場面も見受けられた。それでも、エンゲルスコーチは、「今日は難しい内容だったけど、確実に良くなっている」とポジティブに分析している。

 かつて京都サンガや浦和レッズで監督を務めたJリーグでもお馴染みの名伯楽であるエンゲルスコーチは、イニエスタの加入以来、神戸が本格的に挑戦し続けているポゼッションスタイルの成熟度について、「まだまだこれから」と話す。その根拠は?

「まだまだレベルアップできると思っている。今日は内容も含めてまぁまぁだったと思うけど、それでも最近の試合のほとんどは6割近くボールを持てている。本当にステップバイステップだと思う」

 そうやってイニエスタ加入効果を明るく話したドイツ人コーチは、取材も終わりに近づいた時、「この前のロシア・ワールドカップでポゼッションをしていないチームが勝ったとか言われているけど、クラブを見たらバルサやマンチェスター・シティが上にいる。まだポゼッションは終わってない。絶対にやるよ」と豪語した。

 その強い眼差しが見据えるのは明るい未来だ。イニエスタの加入で大きく変貌を遂げつつある神戸の戦いからますます目が離せない。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWEB)
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