余裕と自信に満ちた本田圭佑の入団会見。“つかみ”バッチリの男に求められるものは?

2018年08月15日 植松久隆

“カンボジア代表監督”本田をメルボルン・V監督はいかに考えているのか?

メルボルン・Vのシャツに身を包み、白い歯をこぼした本田。これまでに6か国を渡り歩いてきた男は、入団会見で強い意気込みを口にした。写真提供:Taka Uematsu

 現地8月15日、日本代表MFの本田圭佑が、オーストラリアのメルボルンで入団会見を行なった。

 現地記者によれば、「いつもなら2、3人が顔を出せばいいほう」というメルボルン・ビクトリーのメディア・カンファレンスも、メルボルンに留まらず、Aリーグやオーストラリア・フットボール連盟(FFA)までもが入団を切望した"ビッグネーム"の会見だけに、さすがに様相が違った。

 ビクトリア州政府閣僚、在メルボルンの日本国総領事、FFAのデイビッド・ギャロップCEOなど多くの要人も参列した会場の雛壇のど真ん中に腰を下ろした日本サッカーのレジェンドは、通訳を介さず、日本メディアとのやり取り以外はすべて英語での質疑応答でこなしてみせるなど、自信に満ち溢れた姿を見せた。

 会見でのローカル・メディアからの質問は、予想通り、先に発表された、事実上のカンボジア代表監督就任と同国GMへの同時就任に関するものが多かった。両天秤、あるいは、二足の草鞋の片方とされるオーストラリアの世論を相手にする当地メディアにしてみれば、当然のアプローチだ。

 そんなストレートな質問も本田は逃げずに堂々と受け止め、次のように返している。
 

「メルボルン・Vの選手である以上は、このクラブ、ファン、チームメイトのためにもクラブでのプレーに集中しなければならない。確かに多くのコミットメントがサッカー以外にもあるが、そのことは大きな問題ではない。世界中の多くのスタッフがきちんと動いてくれているので、ここでのプレーに集中できる」

 自分の立場について、自らの言葉で説明し、理解を求めた本田に、メルボルン・Vのケビン・マスカット監督も歩調を合わせる。

「ケイスケとは何度も話をして、彼自身の将来的プランのモチベーションについても包み隠さず話してくれた。何よりもまず、彼はサッカー選手であり、そのプライオリティーはここメルボルンでのプレーにある。彼は、どの試合、どの練習への参加にも妥協することなく、ともに動いていく」

 それでも「カンボジア問題」に食らいつくローカル・メディアに本田は、「4か月くらい前、カンボジア協会と話したとき『選手をしながら代表監督をやってもいいか』と聞いたら、『どうぞ』という返事だった。もちろん、自分でも変わった質問だとは思ったけど、それが僕のやりかた。何でもやりたいと思うことはやってきたので、その時も聞いてみた」と、"秘話"を聞かせた。
 

次ページ“つかみ”はバッチリの本田に今後求められるものは?

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事