先制を許した試合は11戦全敗! 低迷レイソルの不振を招いている原因は何だ?

2018年08月12日 鈴木潤

仙台戦はチャンスを作れていたにもかかわらずワンチャンスで失点…

ビルドアップの巧さには定評のある柏だが、カウンターからの一発で失点するなど守備の脆さは今季の難点だ。写真:徳原隆元

[J1リーグ21節]柏0-2仙台/8月11日/三協F柏
 
 前節の札幌戦で連敗を食い止め、課題だった"決定力不足"に関しても多彩な攻撃から数多くのチャンスを作り出した。この結果と内容によって、悪い流れは断ち切られ、浮上の兆しが見えたかに思われた。
 
 だが仙台戦では「前半に良い形で攻めている時にチャンスはあった。そこで決めていれば結果は違ったと思う」(伊東純也)というように、またしても"決定力不足"を露呈してしまう。
 
 ただ、得点を奪えないことと同時に、現在の柏は守備にも問題を抱えている。完封は1-0で勝利した4月25日の浦和戦以来なく、そこから11試合連続で失点し、その数も21に上る。
 
 柏の傾向として、いくら良いリズムで試合を運び、チャンスを多く作り出しても、失点を境にそれまでの良かったリズムを失い、そこからの攻撃が単調になることで得点の気配が消え失せてしまう。それが"決定力不足"に拍車をかける。
 
 今季の柏は、先制を許した試合は7戦7敗。逆転どころか引き分けにすら持ち込むことができていない。アジア・チャンピオンズリーグと天皇杯を合わせると11戦全敗である。中には試合開始直後からリズムが悪く、そのまま敗れるケースもあったが、一方で今回の仙台戦のようにチャンスを作り、優勢に運んでいた試合だったにもかかわらず、ワンチャンスで失点を許し、それを機に一気に崩れていく展開の方が目立つ。
 
 加藤望監督は就任以降「攻撃に躍動感を出したい」との狙いから、攻撃時には人数をかけ、選手にリスクを冒して出ていく意識を植え付けてきた。しかしそれによってカウンターを浴びる回数も増えた。自分たちの攻勢時に、相手のワンチャンスで失点を喫してリズムを失っては意味がない。
 
 仙台戦でも、すでに1点ビハインドの状況はあったが、ボランチの位置から小泉慶が飛び出し、そこに手塚がスルーパスを放った。小泉の積極的な飛び出しと手塚の勝負を仕掛けた中央へのパスは、点を取るためのチャレンジである。だが、その時に果たして他の選手たちはリスク管理の意識を持てていたのか。結果的に柏はボールを失い、手塚の周りの広大なスペースを仙台に使われてカウンターを浴び、それが2失点目につながった。
 

次ページ守備の課題も依然として修正しきれていないのが現実

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