【総体】なぜ前橋育英は初戦で姿を消したのか? 昨冬の王者が九州の雄・大津に惨敗した理由

2018年08月08日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

自慢のパスワークで崩しにかかった前橋育英に対して大津は…

榎本(右)にいい形でボールが入らず、0-3で敗れた前橋育英。大津の術中にハマる形となった。(C)SOCCER DIGEST

[インターハイ2回戦]大津3-0前橋育英/8月8日/三重交通G

 昨冬の選手権で悲願の初制覇を成し遂げてから約7か月。夏の日本一を目指した前橋育英は初戦で姿を消した。

 8月8日、インターハイ・男子サッカー競技の2回戦が行なわれ、シード校の前橋育英(群馬)は九州の雄・大津(熊本)と対戦。試合開始の5分はセットプレーなどから勢いよく攻め込んだが、次第に思うようにパスをつなげなくなった。

 すると、前半10分に失点。大津の注目アタッカー・水野雄太(3年)に左サイドを打開され、最後は樋口堅太(3年)に頭で捻じ込まれたのだ。
 
 リードを許した後もこの日の前橋育英は思い通りに試合を運べない。プロ注目CBの福島隼斗(3年)、吉村仁志(3年)を擁する大津守備陣を打開できず、もどかしい展開のまま前半を終えた。
 
 後半に入っても前橋育英のギアは上がらない。中盤の底から秋山裕紀(3年)が攻撃を組み立てようとするが、前線へのパスはことごとく寸断される。昨冬のような強さはまるで見られなかった。

 痺れを切らした前橋育英は前に人数を掛けるが、逆に守備が手薄に。結局、前に出たところを突かれ、70分+2分に大竹悠聖(3年)、70分+6分には高見柊真(3年)にネットを揺らされて勝負を決められた。
 
 何故、前橋育英は何もさせてもらえず、大会を去ることとなったのか。それはひと言で言えば、自分たちのスタイルに固執したからだ。
 
 今年のチームは昨年同様にタレントを擁する。最前線には昨年のインターハイ得点王で、冬の選手権でチームを優勝に導くゴールを奪った榎本樹(3年)を配置。その脇を固める高橋尚紀や室井彗佑など3年生アタッカーの実力も折り紙付きだ。
 
 そんな彼らの個性を活かすべく、今季はワンタッチで相手を外しながら、サイドから崩すスタイルを成熟させてきた。しかし、2回戦で相まみえた大津はその形を封じるように、中盤を省略。ロングボールを多用し、前橋育英の特徴を消す戦い方で勝負を掛けてきたのだ。

次ページ夏に屈辱的な敗戦を味わった昨冬の王者は選手権までに立ち直れるのか

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事