【岩本輝雄の場外乱闘レビュー】広島のサッカーは守備重視で退屈? 大きな勘違いだね

2018年08月02日 岩本輝雄

パトリックはプレーの幅が広がったと思う

前線で頼りになる基準点として機能するパトリックは、守備の貢献度も高い。非凡な決定力は言わずもがなだ。写真:早草紀子

 8月最初のゲームは、三ツ沢に足を運んだ。マリノスを4-1で下したサンフレッチェは、実に"らしい"勝ち方だったよね。
 
 堅い守備で相手の攻撃を封じ込めて、チャンスを確実に仕留める――手堅いサッカーで勝点を伸ばし、首位の座をがっちりとキープした。
 
 改めて言うまでもなく、最前線のパトリックの存在は大きいね。マリノス戦では2ゴールを決めたけど、得点源としての非凡な決定力だけでなく、プレーの幅がますます広がっている印象だ。
 
 重戦車のようにゴリゴリと前に行くだけの姿は、もうない。前でボールを受ければ、味方の攻め上がりを促すキープが効果的だし、シンプルにはたいて攻撃に厚みをもたらすこともできる。そして、守備の貢献度も高い。
 
 守備で言えば、プレスバックが効いている。2列目のサイドが外に引き出された時、ボランチも一緒についていけば、真ん中にぽっかりと穴が開いてしまう。その穴を、パトリックを含め、2トップが埋めるから、コンパクトな陣形を保つことができる。
 
 チーム全体のソリッドかつ連動性ある守備組織が、今のサンフレッチェのストロングポイントであるのは間違いない。不用意にスペースを空けないよう、一人ひとりが高い集中力で適度な距離感を意識しながらポジショニングしている。
 
 そして、必ず"自分たちの前に相手を置く"ようにしている。相手を後ろから追いかけるようなシチュエーションがあまりないから、強固なブロックを作れているよね。
 
 たとえば、サイドの攻防で相手のSBが高い位置を取ってきた時、佐々木や和田は無理に奪いに行こうとしない。これは厳しいなと判断したら、素早くスッと引いてラインを下げる。その判断に迷いがない。割り切ってできている。マリノス戦でも、それは表現されていた。

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